牧史郎

658km、陽子の旅の牧史郎のレビュー・感想・評価

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)
3.5
車の運動が、スクリーンバックっぽいものから、生の風景になって、バイクになって、最後は歩く…というかたちで、徐々に陽子が外の世界に溶けていく感じがうまいなーと思った。

ヒッチハイクものって定番があって、そこを踏襲しちゃってるところはイマイチだった気がするけど、最後の駐車場で追い詰められて全員に呼びかけるところは今まで見たことのないパターンで悲しみと同時にユーモアもあって最高だった。

オダジョーが超現実的に出てくる描写も驚きはなくて「なんかなー」という感じがしたけど、やっぱり彼の存在と「陽子」という名前だけで、色々と伝えられっちゃうのはすごいなーと思った。最後のカットでタイトル出るところは、彼女の名前とタイトルと天気とアングルがハマってて、すごく美しかった。熊切監督の映画!っていう喜びがところどころにあって、すごくそれは嬉しかったな。
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