このレビューはネタバレを含みます
足音の違い、布団に横になる瞬間の落下、まつげのゆれ、母のために走る主人公の時空を超えるような速さ。
一つ一つの動作がもつ、小さな物語の描き方、スピード感。リアルさを追求しながらも、少しの足し算引き算で、いっきに劇を動かす。
それを丁寧に、音楽や、効果でごまかすことなく、描かれている。
感じ方によっては、アート作品をみる、に近い感覚もある。
すべての宮﨑駿を通り抜け、駿回廊を幾度もくぐりぬけながら、既視感ではなく、再度別の物語を体験する感覚に近い。
例えば、庵野さんが、シンエヴァでやったことにも近い要素がある。だけど、全然違う。
パラレルに何層もの世界を行き来している感じ、駿ならこう描ける。まだまだ、若手作家たちはこの領域に達していない。
食べ物の描写、鳥の描写。
死と別れをもう一度、描き直すこと。
友達を作るのもいい。
自分だけの積み木を積むこと。
