茶番

君たちはどう生きるかの茶番のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ダントツのワケ分からなさが今までで一番好きかも。

・これは悪い夢なの???的なシーンが多かった。蛙に覆われる、人食いインコに囲まれる、溺れる、世界が崩れる……。
・今までのジブリにはなかった笑いどころが用意されているのが新鮮で面白かった。
包丁を研ぐインコ、息子がセキセイインコになったと勘違いする親父、インコ大王が焦って建てた積み木を叩き切るシーン等。
・冒頭の火事のシーンの映像美は特に素晴らしかった。水の表現や服の厚みなどジブリらしい表現も残るなかでイマドキで美しいものも多かった。産屋の緞帳、紙の龍。
・メインビジュアルが主人公ではない。
あの鳥は主人公でもなく鼻がデカイキモいおっさん。覗き屋て。
・今までのジブリの集大成、すべてのジブリのモチーフ、世界観がちりばめられているジブリファンへのサービス作品のように感じた。アリエッティ薄いか?
長い歴史があるとセルフオマージュだけでファンは嬉しくなる。ジョジョの一巡後の世界のような。
・今回なぜこんなに鳥(青鷺、インコ、ペリカン)にフィーチャーしているのかは詳しく知りたい。
・石は悪意を持っている、悪意に染まっていない石たち。隕石が意思を持っているのか。
脆い積み木の塔はそのままあの世界を表す(=地獄? わらわら達の輪廻転生、黒い影たちは殺生ができない)。
どのように死後の世界を安定した美しいよりよいものにしていくか、またその世界の維持を断る→悪意ある世界の中で君たちはどう生きるか、ということ?
どうやってこんな汚い世界(現世)で生きるのかという問いに眞人が出した答えは「友達を作ります」。生きていく苦しみの中で持つべきは友達だ、と駿が視聴者にアドバイスしていると解釈するのは間違いだろうか。
老若男女の自殺が報道される昨今、頼れる友達の存在の有無が生死を分けるのかもしれない。常々命を尊重している駿が主人公につけた名前「眞人」、自らも同じ悪意を持ちながらそれでも生きようとする「眞人(まことのひと)」。人の本質を描いている?

・キリコさんは眞人と同じ場所に傷を持っている。面倒見がよく今作のトキさんポジ。母への寂しさ、若い母との冒険、元気な老女と役満の駿世界。

ここのコメントを読んでやはり「君たちはどう生きるか」というか「俺はこう生きましたけどね」だと感じる。
死後の世界には留まらない、つまり死ぬのを辞めてまた生へ向かう、胎内回帰・生まれ直しのモチーフ?
入り口を埋め立てた塔へ入ろうとしてまた出てくる、産屋に入ってまた出てくる、など近い表現が多い。
積み木の数が13=作品数になっていること、様々なセルフオマージュがなされているのは主題歌担当米津の「砂の惑星」の歌詞及びPVを彷彿とさせる。
茶番

茶番