ぷん

君たちはどう生きるかのぷんのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0
第二次世界大戦中、母親を亡くしてしまう眞人、誘うアオサギと出会う

公開後、難解と言われすぎてあまり受け入れられてない本作、この物語を分解して整理したので、このレビューを見て少しでも楽しく見えるポイントができたら嬉しい



ネタバレを含みます




1.この物語自体が新しい宮崎駿のボーイミーツガールであり冒険でありファンタジーでありタイムリープであり、家族愛であり、そして1人の少年の成長談だった

「失われたものたちの本」が元になっており、宮崎駿のイメージの根源であるファンタジー児童書を今回は全面に押し出したのだ
(プロットが本当にこの本のままなので気になる方はぜひ読んで欲しい)

2.物語の皮は児童書で、裏側のテーマは宮崎駿の作品の破壊と崩壊と、そして再生

13個の積み木の13という数字は今まで公開した宮崎駿自身の劇場作品の数であり、それを毎日コツコツと積み上げてる大叔父、無垢さを自身の美しさと考え積み上げることをやめることが出来ない、まるで監督のよう
最後は少年に悪意があることが分かり、結局世界は崩壊する

3.異世界自体、宮崎駿の心象風景であり、幼少期に読んできた本や映像のイメージが具現化したもの

「失われたものたちの本」が主人公デイビッドの読んだ童話の世界を巡る話となっており、今回は宮崎駿の話だとしたらこの定義が当てはまり、ところどころで見える他の作品(千と千尋やラピュタ等)と似た構図の数々は宮崎駿がこの異世界から持ってきたモノということになるので、この異世界が宮崎駿の全ての作品の根源であり、源泉なのだ、すごくね?

4.少年眞人が幼少期宮崎駿で、大叔父が現在の宮崎駿で、少年時代と今を異世界で繋ぐ物語

幼少期の宮崎駿は戦時中飛行機工場で働く裕福な家で生まれていることから境遇が一緒なので、眞人は自身を投影していることは間違いなく、大叔父(現在の宮崎駿)と時間という概念を超えて心象風景やイメージのなかで会話し大叔父との決着を付けている、物語が壮大過ぎるしロマンがある

5.今回の決着の結果、宮崎駿が宮﨑になっている
監督の名前が変わっているのは、やはり前作の作品を崩壊させ新たに生まれ変わったからである、物語と現実がリンクしている事が物語の作り手として神の領域に達している、82歳にして改名はすごい、自身の過去作に縛られない新たな作品を生み出して欲しい

こんなに鮮やかでみずみずしく、綺麗で美しいイメージの中に宮崎駿が今だにいるということに驚いた、諦めずに生きていれば腐らず老いないということが証明された作品でもある、僕たちはどう生きるか
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