2023年公開
監督 ： 宮崎駿
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ある青年が、喪失感に苛まれる中で、不思議な体験をするお話。
至高の創作とはなんだろうかと考えさせられる物語。「今」しかできないことを最も濃く形にするというのがその一つなんだろうなあと思うと、ここまで考え、作ってきて、かつそれを社会と分け持って、もはや作者の手を離れて文化になるところまで到達して、だから「今」なんだろうなあという感じを覚えました。こうして、この濃さでこの中身をぶっ放してそれでも受容されるというこの状況を作り出したことも含めて、人生すなわち創作という一人の作り手の到達点をリアルタイムで見られる得難さを感じる２時間でした。
作り手の背景を全部無視したとしても、僕は決して「よくわからない話」だとは思わなかったんですよね。主題は極めて明確というか。しんどくて辛くて不安な時は逃げてもいいしそれも人間の持つしょうもなさなんだけど、でもきっと友達は見つかるから、気が済んだら前を向こうというメッセージだと僕は受け取りました。息子本人にこれを見せても受信はまだ当分難しいだろうけど、僕は彼のことが浮かんできて、この世は何だかんだクソめんどくさいこととか最悪なことも起こるけど、全部全部ごちゃごちゃにひっくるめて、「大丈夫」ということで、日本を代表する監督の最後の作品のメッセージがその若々しさとピュアネスで、救われた気がします。
