なかずかい

君たちはどう生きるかのなかずかいのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.9
まあ見たばかりで頭の中がごちゃごちゃしていて勢いにまかせて少々出鱈目を書いていることは注意していただきたい。また視聴したら加筆修正するかもしれない。

これはですね、アナザーGレコなんだって、わかってしまったなあ!(追記:と思ったけど∀ガンダムかもしれない)

ちょっと脱線するが(ネタバレ込みなので字数稼ぎも兼ねる)、宮崎駿と同い年の富野由悠季は商業的な理由でガンダムを作らざるを得なくなり、そのガンダムの呪いから解かれんと『∀ガンダム』では全てのガンダムを埋葬し『Gのレコンギスタ』では脱ガンダムを掲げてガンダムの、そして富野由悠季という名前のパブリックイメージから脱しようとしていた。

でだよ、この『君たちはどう生きるか』、多分同じことをやろうとしているのだと思うんだよな。スタジオジブリの、そして宮崎駿のパブリックイメージから脱しようとしている。お前たちのイメージするジブリ像は幻想なんだよと。なんかまあジブリと言うたらどんな人でも皆見るわけ、たとえ宣伝しなくても、普段アニメ見ない人も映画見ない人も。今日これを見たときも、普段映画見てないであろう人たちが沢山いて、次から次に途中でトイレ行くし、めっちゃ喋るし、赤ん坊泣いてもお構いなしだし。そこに込められた民族性も演出も考えもしない人たち。ジブリという名前に、なんとなく付随するイメージに引き寄せられてくる人たち。ジブリ度とかジブリらしさとか雑な括りで「ぽいね〜」とか言ってるそこの貴方です、ただそういった人たちにウケているのがジブリ成功の秘訣でもある。

塔の中の向こうの世界は大叔父が作っていた。大叔父は13個の積み木で世界を作っていた。3年に一つずつ積み上げて、「ジブリの世界」を作っていた。血縁者にその世界作りを引き継いで欲しかった。その血縁者が罪を犯していても。
これは多分パブリックイメージの宮崎駿。13の映画の制作に携わり、3年に1作品を手掛けて「ジブリの世界」を作っていた人。宮崎吾郎に自分の跡を継いで欲しがっている人。
でも本当の宮崎駿は頭に傷をつけている。自分自身の手によって。それは自分の悪意の象徴。キリコにも誰にでもついているかもしれない悪意の象徴(ということでいいのか?)。その傷は周りの人たちをだまくらかしてしまっている。これは最早魂の懺悔タイムである。だから矢鱈とこのくだりが長いんじゃないかな。

所謂パブリックイメージの「ジブリの世界」は鈴木敏夫が経営によって作ったもの。「ジブリの世界」を信じている人は宮崎駿の魂なんざ気にもしてない。宮崎駿が作っているのか高畑勲が作っているのかも判別しようともせず絵が綺麗でほんわかしてるくらいに思っている人もいて。インコ王に引っ付いている大勢のインコ達はマヒト=現実の宮崎駿を食べようとさえしてしまう。ただ個人的には鈴木敏夫がインコ王のようとはそこまで思えないのだが。タイ人女性と色々とあるらしいけどちゃんと経営してきているし、今になって富野由悠季から「ぼくは鈴木さんに捨てられた」なんて話まで出てくるくらいだし手腕は間違いないと思うんだよな。

「ジブリの世界」たる塔にはいくつもの扉があってあらゆる時代に繋がっている。若き日のひみの世界ともマヒトの世界とも繋がっていて、もしかしたら人と人との関係を繋げているかもしれないのがジブリの世界だ。たとえ自分でつけただけの傷を理解してもらえずとも、パブリックイメージによるものでも、それでも「ジブリの世界」はこうして現実に影響を及ぼしている。たとえ塔を出たらじきに忘れていってしまうとしても、夏子のことをお母さんと呼べるようになって良き家族になっていくわけだ。そういうわけだが!?本当の俺はこう生きたが!きみたちはどう生きるか???

バターとジャムかけすぎだろ。にしても本当の俺はこう生きるぞ東京帰りまーすで終わるってそれでいいのか?何か意味こもっているのかな?「僕はこれで世界一周するぞー!」(富野由悠季のGレコ)の方が普通にいいだろ。
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