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君たちはどう生きるかのkojikojiのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.8
 正直に言えば、タイムラインに背中を押されて、ある種渋々観に行った。もちろんこの作品は宮崎駿の最後になるだろうと思うと、どこかでソワソワしていたのも事実。
 難しいと言うレビューも多く、少し構えていたが、結果から言えば、ちゃんとジブリで今までの作品と変わりなく、面白かったし、行って良かったと思った。

#1336
2023年 スタジオジブリ
監督・脚本:宮崎駿
原作: 君たちはどう生きるか
音楽:久石譲

 太平洋戦争末期。少年眞人は母を空襲で亡くし父と疎開する。そこには父は再婚した母の妹夏子が待っていた。新生活を受け入れられずにいた眞人。彼は大叔父が建てたという洋館を発見する。
 ある日、夏子が森に消えたのを見かけた眞人は謎のアオサギに導かれながら洋館に足を踏み入れる。
 そこから眞人とアオサギの冒険が始まる。

 難しいと言われるのはストーリーが理解できないというようなものではない。安心して楽しめる映画だ。
 監督は「これに例えて何が言いたいのだろう」と言うようなことなら私には明確な解答はできない。そういう意味では難しいと言わざるを得ないが。
 しかしその難しさは、過去の監督作品の「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」となんら変わらないと思う。
 面白さもこれまでのジブリ作品と遜色ない。

 監督は一旦引退宣言をして、再び映画を撮ったのだから、私は言い足りなかったことがあったのだろうと思い、そこは楽しみにしていた。
 そのため、監督の少年期を描くようなオープニングはワクワクした。
「君たちはどう生きるか」これまでの自分を振り返り、監督が今考えるテーマを提示する。そんな映画になるのだろうと思っていた。
 「君たち」は当然日本の青少年に語りかけているのだろうと思っていた。映画は確かにそれを考えさせられる内容ではあったが、私にはどうしても引っかかるところがある。
 それは国民的映像作家(になってるでしょう?)が引退の言を覆して、どうしても言いたいことがあるのなら、何故、舞台は「日本」ではないのだろう。
 もちろん舞台は疎開する場面までは日本だが、あの住まいや冒険する先は日本ではない。
 監督の最後の作品というなら、何故ヨーロッパ(らしきところ、らしき人)なのか、日本を描けないのか、これだけは不満だった。
 宮崎駿の限界なのか、世界映画作家への色気なのか、これまでのジブリファンに対する媚か。ジブリの宮崎駿は一旦終わったはず。
 最後のプラスワンの映画が今までのジブリの延長でしかないのが実に残念だった。

(追伸)
忘れていた。久石譲の音楽がすごく良かった。これは特記すべきこと。

(追伸2)
あとで読んだ私のフォロイーであるfujisanのレビューに、宮崎駿が行った記者会見は2013年で、その席上10年は仕事すると言われているそうだ。
と言うことは、ちょうど今年は10年目で辻褄が合うから、引退した後また撮ったという作品ではないことになる。なぜそんな会見をする必要があるのか合点はいかないが、一応納得することにする。それでこれまで記載していた部分は削除することにした。

(追伸3)
アカデミー賞をとった後、本人は全く顔を出さなかった。話によるとあの引退の発言もあり、恥ずかしくて出れないようなことを聞いた。
そうだろうと思った。当たり前だ。そんな人間が「君たちはどう生きるか」?
どうしてこうも上から目線なのか?
「私達はどう生きるか」じゃないのか?
老人とはこうも図々しくなる。気をつけなければならない。人は年を取るだけ謙虚であるべき。それでやっとまともなのだ。
 
ということで、私の本心は「調子こいてるでねー」なんだ。


2023.08.5視聴369
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