花粉

君たちはどう生きるかの花粉のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

炎がリアルなのに情緒と連動してて勢いのある様子がアニメでしかできない表現ですごかったから開始10秒くらいで泣けた(早い)

ジブリ映画大好きな人間として宮崎駿が最後の作品かもしれないと思うとセルフオマージュも含めてあ〜鳥の足好きすぎじゃん〜白い物体の集団、、風がそよそよ草花のきれいな草原、、海の上に建つ城、、ねばねば、、シチューとパンとバターとジャム、、、いちいち着替えとかシチュー掬うとか生活の一瞬の描写が細かいところとか、、男勝りな女性と明るい女の子、、となってそこでも泣けてきた。宮崎駿濃度120%って感じだからさらにこれでもう最後感を醸し出していて泣ける。

序盤から割と嫌な感情とか嘘とか気持ち悪いなって感じが何度も出てきたけどそれも人間らしいというか、綺麗すぎなくていい。ジブリ全部だけど全世代見れる顔した作品なのに子どもを舐めない姿勢でダークな部分も取り入れ、訴える姿勢がいい

節々に出てくるどっちを選んでもいいよみたいなセリフとか自由に選べるけど今いることって(生きてることって)すごいことが積み重なって存在できてるんだなってファンタジーを通して知れた感じ

エブエブ観た時にも思ったけど、世界のカオスさむちゃくちゃさからほんとうに言いたいことを感じるタイプの映画

ファンタジーとして深く考えずとも面白いシーンが沢山ある。きっと小さい子どもが観ても印象に残るシーンがあるし、時と場合が変われば見方が変わるし印象に残るシーンも変わりそう、それがジブリの好きなところ。。。

ファンタジー的に見たい映像でワクワクしたのはタイル?石畳に沈んでいくところ、おじさん頭がお腹に収納される変身スタイルのアオサギ、(ポスターイケメンになりすぎだろ)、増えすぎちゃった邪悪インコ、デカナマズの内蔵ぶしゃー、塔の中のビジュアル、刺さる。

色んな人の感想見たらそういう考え方あるんだ、、、とまた面白い


2回目の感想

初めの火事のシーン
熱風に当たっている人々(自分とは関係ない人)の揺らめき、亡霊のような感じで揺れてていて待ってる人へ向かうまきとの周りへの無関心さ、または周りから他人への無関心さを感じて現実感がすごい伝わってきた

まひと、人力車に先乗ってって言われる前に乗ってるし会話に相槌をうたず、冷たくしてるしおばあさんたち最初見た時引いた顔するし、料理もおいしくないって言うし(まあでもまひと父もまひとの「美しいですね」に対して返答しなかったり一方通行なとこあるから似てるのかもね)
なつこに対する嫌悪感、なつこの手を引っ張ってお腹に当ててくる強引さとか部屋に父の服があって一緒に寝てるんだという気付き、おかえりのキス、頑張りすぎちゃってるおしゃべりに嫌気をさしながらも、なつこに伝わるほど表面に見せてしまうそこはとても子ども。
なつこも怪我させてしまった罪悪感があり、この子のお母さんにならなきゃと思いつつも寝顔を見て微笑まないなど根からそうなれはしない人間の嫌なところ。
お見舞いの中なつこの手がまきとの顔に対してすごく大きいように描かれているところも、心を?手に入れたい感が増すなあとあとから思った。

母屋でまきとがなつこさんからお母さん呼びに変わって、まきとが気を遣えるようになったのかなと思った。自分はまだそう呼べないけどそう呼ぶことでなつこさん、お父さんの好きな人が安心する優しい嘘。世界にはそういうこともあるよね
悪意の丸出しにするアオサギがまきと本来の悪意の権化みたいな、分身みたいな感じに見えたけど、アオサギと関わったことで悪意があることを認められたのかなと思ったりもした

初めは不意に見た火事の夢で現実でお母さんのことを思って泣くほどだったけど、夜階段で見た夢は目を瞑り見ようとして見た夢だった、見ようとすれば光は見れることについて、主題歌の歌詞「光さす夢を見るいつの日も」というセリフがしっくりきた。

火がよく登場するけどマイナスイメージであまり使われてない(どの作品でもそうかも 最初がマイナスだっただけか)熱意を感じる炎の光のほうのイメージに変わったかも、雲から射す光より熱くて強い光

まきとはお金持ちの息子だからいいかもしれないけどペリカンやインコを見て、それが違う種族のような捉え方をしてしまう自分に気付いた。けど別に人間も同じで、老人ペリカンの何代巡っても同じ結果みたいな話でその種にはその種の苦しみがあり、同じように同じ世界に存在していて避けられないものだと感じた。そう在ることは仕方のないことだと感じた。

その中でどうするのか、だけど現実でも抜け出せない貧困やどうしよもない病など、様々な悪が降り掛かってくる。でも違う畑で比べるものではないし。あなたがしんどいと思ったらしんどい。というような思想を、まきとが苦しみを最大限理解して、優しさを出して地面にペリカンを埋めたところが、最上級の他界隈からの祈りかなと思った

大叔父は悪意のない無垢な積み木で再構築を迫ったけどそれはやはり難しいことで逆にまきとの悪意を受け入れる姿勢とか考えをより強固なものにしたのかなーって思った。

現実世界でも色々な民族とかコミュニティとか家族とか種族とか入り交じった世界だけど違う苦しみがありどれかが全てを奪う(インコが世界征服するように)ことはこの世の均衡を崩すのかな、と積み木を見て思った。
積み木は本来バランスをとって遊ぶおもちゃだったっけ、、、?と思ったけど重み(丸い上に四角は乗りにくいこととか)を知る知育玩具として色々試すものだから、試しながら知っていくって点について人生、、と思ってしまった 考えすぎか〜

影は後ろに伸びるし後ろは振り返ってはいけないし忘れても思い出せないだけで覚えていること、他の13作品でも感じたことだけど今回もしっかり感じられた気がする
全体的に前を向いているし光さす夢を見ることができる、自分次第で希望をもってやっていける、というふうに捉えられたから私にとって生き方に影響する映画になりました
花粉

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