ボアニューゲート三成

君たちはどう生きるかのボアニューゲート三成のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

今までのジブリ作品が色々な場面に散りばめられていて、とてもとても面白かった。

もちろん、正解はわからないし、あくまで私の考察だけれど「あの場面は、これを表現しているのかな」「この鳥はこんな人だったのかな」「この積み木(石)は…」とか映画を観ながらいっぱい頭に浮かんできた。

ぜひ、他の人の考察を聞いて、そして吉野源三郎さんの『君たちはどう生きるか』を読んでから2回目を観に行きたい。

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下記、自己満足な考察と疑問点とグチャグチャな頭の中(2023.8.26 初回)
思いついたら、ちょっとずつ書き足す。


⭐︎塔について
あの塔の中は神の領域?あの世に近い狭間?とでもいうのか、私達の住む世界とは違う場所だと思う。
そして最初、眞人(主人公)とキリコおばあちゃんは本がたくさんある塔の中に通され、色々な統一感の無い世界を巡り始める。主人公が夏子さんを探している場所は、【あの本達の中≒宮崎駿監督の頭の中≒宮崎駿監督作品とそれに影響を与えた物語】。
だからあんなに場面が変わっていくし、所々で他のジブリ作品に似ている場面が出てくる。塔の中は神の領域に近い場所で監督の物語の中なのかも知れない。
特に似ていると感じたのは、『千と千尋』で千尋が通り、そして帰ったあの静かなトンネル。大叔父様へ向かう時などに出てきた黄色い世界。恐らく神の領域へ入る最初の場所なのかなと感じた。


⭐︎主人公がペリカンに押されて開けさせられた門は?→謎が残る…
おそらく神様の場所?
若いキリコさんに振り返っては駄目だと言われていたので、『千と千尋』の世界に近い場所なのかなと思った。後、石の洞窟がイザナギノミコトの日本神話に出てくる黄泉の国へ繋がり、後に塞がれた石の入り口の様にも見えた。なので振り返るなと言われた。


⭐︎若いキリコさんは何をしていたの?
キリコさんも昔、塔の中に入っていた事があるのかも知れない。そしてその事を忘れている。船を観て先ず思ったのは、三途の川の船。でも見た限り川よりは海に近い水流なので違うかも知れない。

あの世界で命が無い人は命を奪う事ができないので、どちらの世界にも属さないキリコさんが長い間、黒い人=亡くなった人へ施しをしていた。
黒い海の世界は恐らく、地獄とまでは言えないが、極楽浄土ではないあの世だと思う。
また、白いワラワラへも施しをしていた。ワラワラは水子、もしくは親より先に亡くなってしまった子供達なのかなと感じた。
ワラワラが新しい命として登って上の世界(現世)に生まれ変わるお手伝いをしていた。

キリコさんは『千と千尋』の世界で神様へご奉仕していたリン達の様なポジションなのかも知れない。もしかしたらキリコさん含めおばあちゃん達はこの世の人ではなく、物語の中の人で子を守る人的な存在にも思えてきた。ここはまだ謎が残る。


⭐︎海の向こう側にあった沢山の船
記憶が曖昧だが、『紅の豚』や『風立ちぬ』では亡くなった人と飛行機が沢山の列を成して一方向へ飛んでいく描写があった気がする。なので亡くなった人と船の行列あの世へ向かう集団だと思った。


⭐︎何で若いキリコさんの着物の柄が車輪?
輪廻転生に関係しているから。


⭐︎ペリカンの謎
ペリカンが「我が一族が落ちてきた…」と言っていたような気がするので、元は人間で、一族で何かしらの罪を犯しこの世界へ堕ちてきたのでは無いかと思う。賽の河原の鬼の様に、生まれ変わりたいと頑張る子供達の邪魔を強いられる様な罰を受けているのかも知れない。ペリカン達は【そう生きた】。そして堕ちたのかなと思った。


⭐︎インコについて
インコはお喋りなのでうるさいというイメージが私の中であったが、その割には全然喋っていない様に思える。そして実際のインコは(個人的には)皆んな可愛いのに、明らかに醜く描写されているのが気になった。恐らくペリカン同様、元は人間だと思うがどんな背景があってインコになったのかはまだわからない。でもインコの王様はカリオストロの城の敵の人に色合いが似ていたので、何かしら関連はありそう。

カカポ(フクロウオウム)に似ている。


⭐︎産屋に入ってはいけないのはなぜ?→謎が残る…

あくまで想像だが、夏子さんは姉の元旦那と一緒になる事に罪悪感があったのでは無いかと思う。そして姉の子供を愛せるのか、眞人に受け入れて貰えるのかとても不安だったと思う。これを踏まえてながら、産屋へ入ってはいけない理由も調べたらスッキリするかも知れない。2回目鑑賞までに調べておこう。


⭐︎石について
私が子供の頃、石には神様がいらっしゃるから、無闇に蹴ったり、自然の中の石を持って帰ってはいけないという話を本や人から教えて貰った。
恐らく大叔父様が約束した大きな黒い石は、宇宙つまり天から来た神様なのだと思う。
大叔父様は宮崎駿監督で、石は神様。神様との約束として【積み木を積み重ねる≒物語を作り続ける】使命を長い間実行してきた。

この世界では登場人物が石の気持ちを感じ、尊重する様な描写がある。なのでとても神聖な【何か】なのは間違いないと思うが、石全てが神様になるのかはまだわからない。
積み木が実は石であり、穢れていたり、穢れていないやつもあったり、まだ何か残っていたり、読み解けない部分が多いので2回目で注意して見てみる。


⭐︎この映画が伝えたかった事
※注意:私の個人的な妄想がかなり入っています。※
【大叔父様≒宮崎駿監督】が【眞人≒宮崎駿監督のご子息】に【塔≒ジブリ作品】を継いで欲しいと願った。けれども、眞人には眞人の生きる道があり、人間臭い下心もあって、自分で自分の頭を深く傷つけられる程の意思が強い、大叔父様とはまた違う一人の人間だった。インコの王様のメタファーがわからないが、眞人は継ぐ事を拒み、王様の余計な行動で塔は壊れて、継いで欲しいという願いは叶わなかった。
それでも、それでも、不安定で不恰好でも、崩れて無くなってしまっても、確かに宮崎駿監督は積み木を積み重ね塔を築き上げきった。

その【統一感の無い様に見える、今までの宮崎駿監督作品がいっぱい散りばめられた世界】が詰まった宮崎駿監督が築き上げた塔の中を眞人と我々観客は巡って、問われたのが『君たちはどう生きるか』だと思う。



※一緒に観た方との感想戦で出た考察
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・大叔父様は宮崎駿監督を指している?

・13個の不安定な積み木(石)は、宮崎駿監督の何かしら思い入れのあるアニメ・映画作品の事?
監督自身も手探りで時間に追われながら、常にギリギリの所で常に新しい技術・作品を制作し続けていた。だからあんなに不安定で変な積み立て方をしているのかと思った。