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君たちはどう生きるかのwanbowwowdのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

「いつでも大人の戦争に巻き込まれるのは、守られるべきはずの子ども達」

突如、母を戦火で失った少年が、不思議な世界に入り込む中で心の傷を癒し成長する物語。

母を亡くしてからの環境の変化に心が癒えていないままの少年。
誰にもどこにも感情を出せないまま、しかし大人の事情で日々は進み続ける。
少年は傷付き、荒んだ心を持て余し始めていた。

父親は母の死からまだ数年も経っていないのに母の妹と再婚し、少年の癒えない傷や葛藤にもまるで気付かない。
元叔母で新たな母となった女性は良い人だけれど、心を開ききれない。
ばあや達は世話をしてくれて温かい人達だけれど俗物的で、心を許す対象でもない。
新しい学校では、友達は全くいない。

そんな折に、母親が焼け死ぬ夢の中で「助けて」と少年に向かって叫ぶセリフを、なんとアオサギが自分に向かって言ってくる。

「お前なんなんだよ」と怒る少年は、初めて物語の中で怒りを露わにする。
本当は母が突然死んでしまったこと、後妻を迎えて母を忘れたかのような無神経な父、自分の姉の夫だった人と子をもうけて自分の母親面をする女性、そして勝手に巻き込まれざるをえなかった環境全てへの、怒りをやっとアオサギの登場によって表出できたのかもしれない。

積み木は、積み上げることは難しく維持することは難しいこの世界の平和と、それでも向き合いつづけるしかないのだ、君はどうするか?そう訊いているような気がした。

菅田くんの声は最後まで気付かなかった、本当に素晴らしかった。
個人的にはキムタクと米津玄師がだいぶ要らなかった・・・
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