病で余命わずかの兄エリオットは弟ポールとともに生前会いたかった人に会うための旅をする。ポールをからかおうといつも寝たふりをするエリオットだが、ポールは兄がいつ死んでしまうかも分からない中でそんなふざけ方をされることにどうしようもない苛立ちを覚える。
兄がもうすぐいなくなることに、血の繋がりがあるからこそ避けようのない愛しさゆえの悲しみを募らせる姿が本当に苦しく、安楽死のための薬を飲み干したあとの兄に寄り添うポールの表情に涙が止まらなかった。
自ら選ぶ死については自分が生に執着しているゆえにまだ考えが及ばないところが沢山あるけれど、これもひとつの愛の形なんだろう。静かに響く音楽が素敵な作品だった。