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死体の人のクリームのレビュー・感想・評価

死体の人(2022年製作の映画)
3.7
売れない役者で死体の役ばかり演じている男が、クズ男のヒモがいるデリヘル嬢と出会ったり、両親の病等から、俳優への夢を歪めていた自身に気付き成長して行くお話です。死体役を極めると言う設定は面白かったけど、ストーリーは普通。だけど、主演の奥野瑛太の演技が良いので最後まで飽きずに観れました。わりと面白かったです。

かつて劇団を主宰していた広志は、今では死体役ばかり。交通整理のバイトで食い繋ぐ生活だが、俳優として死体役に拘りを持ち、監督と衝突し仕事を失います。ある日、癒しを求めてデリヘル嬢を呼ぶと香奈という女がやって来るのでした。



ネタバレ↓



彼女は妊娠検査薬を忘れて行った。そして、広志は何故かそれで検査すると陽性反応が出ます。広志は、再び加奈を指名して呼びます。加奈にはクズのヒモ男がいて、妊娠しているのですが、堕胎手術のサインをクズ男に頼めず、広志にオプションの見返りとして頼みます。
その頃、広志は母の死に直面します。母は息子の力に成りたいと役者として「死に方を見ておけと」言い、死んで行きます。母は息子の死体役の映像を編集したビデオや広志名義の貯金通帳を残していました。
一方、加奈は産む事を決め、クズ男に別れを告げ広志の所に行くとクズ男が追いかけて来ます。加奈が広志を殺したと言う修羅場を演出し、クズ男は逃げ出しました。
ラストに加奈はお腹が大きくなり、広志は、癌の闘病生活をしている所で終わります。2人は前向きに人生を歩んで行くと言う終わり方です。

広志の癌は、妊娠検査薬で陽性反応が出た事の伏線回収で、男性で陽性だと精巣癌の可能性があるとされているらしいです。母の死を体験し、母の思いを知り、自分にもう一度問い直す。成りたいのは、死体専門の俳優なのか?そんな訳はなく、死体に拘り、死体役に拘る様に見せ、自分に嘘をついていた事に気付いた広志。成りたいのは、やはり俳優そのものだと…。死に拘り、死を間近で看取り、生きて俳優として成功したいと頑張る広志。新しい命を育てている加奈。2人とも生を選択した。ちょっと素敵な物語だった。
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