菊池厚基

ゴジラxコング 新たなる帝国の菊池厚基のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白いのが約束されたバカ映画。めちゃくちゃ良かったです!
個人的には「KOW」「髑髏島」の次くらいに好きでした。
いい意味で、プロモ映像通りの事しか起きず、それの中身を膨らませた作品になっていましたので、安心して見れました。

●続・コングを主人公とした王道ストーリー
前作同様、コングを主人公に据えた話。塩梅的には「コングwithゴジラ」くらいの感覚で、ゴジラはサポートキャラくらいの感じでした。
今回、私はこのコングのドラマ(?)が特筆してよかったと思います。
王ではあるけど孤独なコングが、同胞を見つけて悪しき王を倒して真の王となる、という王道が背骨にあるので、すごく見やすかったです。
また、コングが王となるべきであるという話の積み重ねも丁寧で、子コングを力ではなく優しさと度量で従えたり、虐げられているコング族を見て怒りを覚えていたりと、シーモすら従えて凱旋する最後の展開に説得力が出ています。
また、コング周りのドラマパートはどれも秀逸。まず人の言葉を喋っていないのに、表情や身振りからどんなことを言っているかわかるし、感情を読み取れるのはすごいです。
あと、小コングとの珍道中も、小コングが絆されるまでに洒落にならんレベルで歯向かってくるのが面白い。あと、コング族との緒戦でモブコングを一旦助けたのに、歯向かってきたからもっかいツブすの、力の論理すぎて笑いました笑
前作からそうですが、コングは強さがちょうど良く、普通に傷ついたり負けたりするので、適度に緊張感があって見ていて楽しい。外付けパーツで強化されていくのも、男の子的にはアガる、いい主人公でした。

●キャラクターに関して
今回かなりの数の怪獣が出てきて、お祭り感がより強化されていました。
デザインはいいのに物語の都合で強化パーツにされるティアマトさん可哀想。シーモもゆるキャラみたいなつるんとしたデザインで味方怪獣感があって可愛いし、しっかりつい良いギャップがいい。

何よりよかったのは敵役のスカーキングです。巷では「弱い」「ボスとして役不足」と言われていますが、それを含めて狡いヴィランキャラとして最高でした。
初登場の立ち姿、ジョジョか(笑)
普通に恐怖と力でコング族を従えてるのが、晒し首をちらっと見せることよって説明しているのがすごい。コングの差し歯をイジる感じとか、イキリ感と卑屈さが滲み出ています。人間が演じると今日びシラけてしまうようなコテコテの悪役ですが、言葉を喋らない怪獣でここまでイキイキと表現できるのはすごい。いい感じにスカッとぶっ飛ばせる敵キャラになっていました。

人間に関しては特に語ることはないですが、アロハシャツの怪獣のお医者さんはいいキャラでした。コングの抜歯シーンとかいい感じに雑で陽気なシーンでワクワクしましたし、本人もこのシリーズに良くいる「人間を所詮自然の一部としか考えない狂人」枠で、フリーダムな感じがすごく楽しいキャラでした。

●不満点
コングのドラマパートがよかっただけに、いよいよ人間パートがいらないという事態になっていました。特に今回は「KOM」の母親や芹沢博士。「髑髏島」のサミュエル・l・ジャクソンのような魅力的で怪獣を食ってしまうようなぶっ飛んだキャラがいなく、人間パートが本気で退屈でした。
実際に人間パートはシリーズで1番短いと思いますが、つまらない分めちゃくちゃたるかったです。

また、個人的にですが、コングが魅力的である分、ゴジラは特に「強い」以上の魅力をあまり感じませんでした。コロッセオで寝るところとかは可愛かったですが笑
他がよかった分、ゴジラのキャラクターも掘り下げにも、どうしても期待してしまいます。

あと、しょうがないけどラストの決着が結構尻すぼみだったかなあと。くびきが解かれたシーモが大暴走して、それを2人で共闘して撃破!かと思いましたがスカーキング倒したら終わりなんですね。
しょうがないっちゃしょうがないですが、「コングと、特にゴジラ全然余裕じゃん。もっとヒリヒリしないと」と思ってしまいました。

●総評
期待通りに、期待よりも面白いものをお出ししてもらいました。個人的には前作の「ゴジラvsコング」よりもだいぶ好きです。
何より、昨今コナンやらMCUのようにこれまでのシリーズを履修するのが前提の作品が多い中、この作品はこれだけ見ても面白さが目減りしないのが強いです。
カラッと楽しいバカ方向に進化し続けるモンスターバース。今回はちょっと敵が弱かったので、次回は超強い敵キャラ(デストロイアとかビオランテとかイリスとか)が出てきて、さらに派手にドンパチやって欲しいです。
菊池厚基

菊池厚基