八瀬

ゴジラxコング 新たなる帝国の八瀬のレビュー・感想・評価

4.0
満足です。
久しぶりにこんなにバカで都合が良くてガバガバなのに見終わって満足感を得られる映画を見た気がする。楽しかった。

何もない。ただ地球上の小さき人類が懸命に作り上げた建造物を巨大生物たちが豪快にぶっ壊しながら殴り合う気持ちの良さ。それ以外に得られるものはほぼ何もない。でもここには愛がある。なんかよくわからないけど制作側のゴジラへの、怪獣たちへの途方もない深い愛を感じる。

今作を見るにあたって前作を見返して若干不安を感じていたけど、杞憂だった。前回の良くない部分を勢いで突き抜けた感じがする。良いよ、それで良いんだよ。巨大生物の姿を借りたヤンキーバトル映画。これで行こう。ピンクになってファンキーな姿になったゴジラがヤンキー感をさらに増して愛おしさを感じる。人類の味方とは言うけれど、コングとは違って全然言葉が通じない破壊を伴う神のような存在なのも良い。一方でコングは表情もさらに豊かに、もはや人間ドラマと変わらないストーリーまで与えられ、ほぼ主役である。セリフが一切ないのに不思議とコングたちの言っていることがちゃんとわかる表情作りや動作の見せ方は見事だと思う。今時あれを人間でやられたら白けるくらいの挙動も、コングたちがやることによって「既視感」を味方につけ面白く感じてしまう。卑怯だ。

あまりにも都合が良い世界すぎてもはやつっこんだら負けな気がするけどそれだけ「これをやりたいんだ!」「この戦いを見せたいんだ!」という熱を感じた。そう、そのためにはコングだって虫歯になるし凍傷にもなるし地下空洞にも一瞬で移動できる。大真面目にバカやっているのがわかるので見ていてこちらも楽しかった。


いや、もう少し冷静になったらちょっと褒めすぎたと思うかもしれない。でも見終わった後心地よく興奮できるのは確か。
八瀬

八瀬