Machiko

映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコのMachikoのレビュー・感想・評価

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まさかすみっコぐらしでプロレタリア文学をやるとは思ってもみなかった。この映画、ゆるかわファンタジーに見せかけて労働描写はかなりシビアであり、朝は社員(=すみっコたち)全員で体操を強いられ、各人の成績が常に張り出され、企画会議や深夜の残業のシーンもあり、工場長は社員に「やすんでないで!」とか檄飛ばすし、極めつけは社員が工場の機械の中に誤って吸い込まれるという労災まで発生している始末。労働におけるこの世の苦役がすべて詰まっていた……。正直労災シーンはマジで葉山嘉樹のセメント樽の中の手紙がフラッシュバックして仕方なかったし、クライマックス、工場長ではなく工場そのものが社員に労働を強いてくるところなんかはブラックな労働環境はそこに居る個人個人が悪いのではなくシステムや構造にそもそも欠陥があるのだ、という告発にも思えた。ラスト、しろくまが何度も補修を重ねられたツギハギのぬいぐるみを「だいじだから」と大切にする姿勢を見せるシーンは消費第一の資本主義社会を批判しているとも取れるわけで、かなり社会派な一本であった。ちいかわといい本作といい、今日びゆるキャラとて労働からは逃れられぬ運命らしい。世知辛い。私の推しすみっコはポジティブ担当・ざっそうです。よろしくお願いします。
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