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インフィニティ・プールの708のネタバレレビュー・内容・結末

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

弱気でスランプで、売れない一発屋作家のジェームズ。裕福な資産家の娘である妻と訪れた高級リゾート地にて、タチの悪い富裕ツーリスト軍団と知り合って、執拗にいたぶられながらからかわれまくる話。簡単に言ってしまうとそんな感じ。ホント、それだけです。

リゾート地のリ・トルカ島では、たとえ過失であろうと人を殺してしまった場合に死刑となる法律があるのですが、警察に金さえ積めば自分のクローンをつくってもらえて、それを処刑すれば放免されるという裏ルールがあり、しかもそれが観光収入にもなっているというヤバさ。

ジェームズが仲良くなったツーリスト軍団は平然と人を殺し、金を積んで自らのクローンを処刑させたり、ジェームズのクローンをつくってもらってジェームズ自身にいたぶらせたり、ジェームズ本人とクローンを戦わせたりというかなり悪質なおふざけを連発。ドラッグやらされてキメセクしちゃったりもして。「ホステル」や「ザ・ハント」と同様に、金のある富裕層だからこそできる秘密のお遊び。たとえ死んでもリセットすれば、何度でもまた始められるゲームのような中毒性なのでしょう。

まぁとにかく見所はミア・ゴスです。ミア・ゴス祭りです。今回も素晴らしい顔芸と演技を拝めました。立ちションをするジェームズに背後から手コキをするところから釘づけで、ゆっくり走る車のボンネットで横たわり、ワインをラッパ飲みしながらジェームズを罵倒しまくるシーンは痺れました。ラストで乳房に血を塗ってジェームズに授乳するシーンは、聖母像のようでありながらもどこか笑いが込み上げそうになりました。ジェームズが帰国の際、クローンの骨壷が三つもお土産にあるというのもどこか滑稽なギャグのようでした。

ブランドン・クローネンバーグ監督はあまりCGを一切使ってないそうですが、トリップする映像から感じられるアナログ感や手づくり感に、生身の人間らしさを感じました。
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