たむ

インフィニティ・プールのたむのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.5
ブランドン・クローネンバーグ監督の第3作は、映画という刺激物です。
これまで父親のデイヴィッド監督との比較で語られ、本作もそれもいけるのですが、3作目になると、個性も明確に出てきます。
クローンなどのSF要素も強く、人体損壊に性的な支配と、確かにクローネンバーグ一族の遺伝子レベルの共通性は見えてきます。
一方で、狂気の実験映像的なアプローチやオマージュがあるあたりは、息子のほうが映画に対してウェットな感情があるような気がします。
デイヴィッド監督は映画に対してドライすぎるほどのドライなので。
オマージュと言う意味で、本作を観ながら、いろいろな作品を想起しました。
キューブリック監督やパゾリーニ監督がみせていた徹底した加虐と被逆の人間関係を描き、チカチカするほど映像の過剰な表現はギャスパー・ノエ監督のようです。
とてつもなく不快感がある映画であり、それを反転させる瞬間のうまさ。
やっぱり好き嫌いはあっても目の離せない監督ですね。
たむ

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