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インフィニティ・プールのShinMakitaのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
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☆俺基準スコア:2.4
☆Filmarks基準スコア:3.6




リ・トルカ島のリゾート施設〈パクルカ〉にやってきたカナダ人夫婦。夫ジェームズは6年前に一冊書いただけのスランプ作家、妻エムは大出版社会長の令嬢である。ごく普通のビーチリゾートで退屈した2人に、LAから来た宿泊客バウアー夫妻が声をかけてきた。夫アルバンは建築家、妻ガビは女優らしい。誘われるままバウアー夫妻と一緒にパクルカの敷地外へドライブに出かけたジェームズとエムだが、帰りの暗い道で、ハンドルを握ったジェームズが島民をはねてしまった。地元警察は信用できないからとりあえずパクルカに帰ろうという夫妻の忠告に従い、轢き逃げしてしまったジェームズだったが、翌朝警察署に連行され事態の重大さに気づくことになる。この島では過失致死でも死刑、遺族の手で即刻処刑されると知らされたのだ。震えるジェームズに、担当刑事スレッシュが「外国人にだけ、助かる道がある」と告げる。それは、大金を積んで己のクローンを作製し、そいつを処刑に差し出すという道だった。



「インフィニティ・プール」


以下、ネタバレティ・プール。


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インフィニティプールとは、水面の高さが海の波の高さに一致していてあたかも海と直結しているように見えるプール。あるいは劇中にて語られるように、底面がガラスで下が丸見えなプール…のことか。ジェームズがハマる「底なし沼」を表した言葉かもしれません。


クロネンバーグの息子が監督。前作「ポゼッサー」でも感じたけど、父ネンバーグの作風・モチーフ…人体の変形と内面の暴力性をもろに継承する人なんだなと。今回は、それに西洋人の植民地支配意識・差別意識を皮肉る要素も加えた悪夢的寓話に仕上げてきました。タイトルや冒頭のリゾート地を撮るカメラアングルから、「さぁ変な映画を見せまっせ」と腕をブンブン振ってる感じがして最高。ガビ役ミア・ゴスのキチガイぶりが半端なく、旅の恥はかき捨てにも限度があるだろうと絶句しましたね。ドラッギーな映像も素晴らしく、罪と罰と生命の重さを完全に無視する感覚に寒気がしてきました。これ、クロネンバーグ流の「ウエストワールド」なんでしょうかね…オススメ。
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