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インフィニティ・プールのVisorRobotのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.6
フォーラム仙台で見た。予告編にひかれた。監督ブランドンの父であるデヴィッド・クローネンバーグの作品は一作も見たことがない。ブランドンの前2作もである。

ホラー化と思っていたら世にも奇妙な物語だった。まあまあ面白いのだけれど、ブラックミラーが45分で与えてくれるものを2時間に引き伸ばされた感がある。要するに残りの1時間15分はゴア描写とかドラッグパーティとか乱交とかに充てられていて、そこに飛び上がって喜べる映画秘宝的な感性が試されるのだろうなと思う。

ほら、俺、おしゃれフランスラブコメとかが好きだから…。

エッチな女に誘惑されるだとか、主人公の気のゆるみが最悪の事態を引き起こすとか、「先進国」側の人間が刺激を求めて訪れる旅行先の「後進国」で本当に怖いことに見舞われるんじゃないかという<恐れ>が封入されていたりだとか、前半30分はかなりお約束のホラーなのだ。

そこから自分のクローンの死刑を自分で見守らなければならないというSF展開に話は進み、そこを期待のピークとして、先に述べたような秘宝的なジャンル映画的じゃれあいが続く。

死刑からのなんちゃってインドダンスとか、確信犯的な緊張と緩和とかは笑ったけど、最先端のゲーミングPCでそこそこのCGをつくってみました、を見せられているような「そうじゃないだろ」感。

YouTubeチャンネル「ブラックホール」の投稿文章でも述べられていた「実は最初に処刑されたのがオリジナルでそのあとは全員クローンなのでは?」という解釈でみると確かに面白いのだが、クローンとオリジナルは何が違うのか?というスワンプマン的なテーマをもっともっとまじめに突き詰めてくれればよかったのに、アレクサンダー・スカルスガルドとミア・ゴスに頼りすぎなんだよなあ。

このくらいの不足感はミア・ゴスの『X』を見たときにも覚えたので、要するにこういうののお客さんじゃない(not for me)ということかもしれないが…。
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