サーフ

インフィニティ・プールのサーフのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.9
倫理と尊厳が取り払われた世界にはまり込む男の物語。

孤島にある高級リゾート地でバカンスを楽しんでいた作家・ジェームズは恋人とリゾート地で出会ったカップルと共にドライブに出かける。
リゾート地へ帰途に就く最中、ジェームズは誤って人を撥ね死なせてしまう。
警察に捕まったジェームズは「孤島では過失で人を殺した場合でも死刑を課せられる」「死刑を回避するために自分のクローンを製作しクローンに死刑を負わせることができる」と聞かされる。
クローンに死刑執行させる事を選んだジェームズはそれを境に彼の中の"何か"が変わって知ってしまう…と言うのが大まかなストーリー。

悪趣味な映画だなぁと思って見てたらこの映画の監督デヴィッド・クローネンバーグの息子だと見終わった後で知った。父親のDNA受け継ぎすぎでは?

「金持ちは罪を犯してとしてもお金を積めばクローンに罪の肩代わりをさせる事が出来る」という事は裏を返せば「金さえ払えば犯罪を犯しても良い」という事。そんな狂った世界で主人公が踏み入れてはイケナイ世界へとはまり込んでいく様子が描かれる映画。
ここの映画の中でも一番悪趣味なのが「自分のクローンに死刑が執行される様子を自らの眼で見届けなければならない」シーン。自分で自分の死を見届けるのって究極のサドマゾかも。

ジェームズが向こう側の世界にはまり込んでいくにつれ、ミア・ゴス演じるガビの狂気性が露わになっていく様子が中々の怖さ。嗜虐的で主人公の心を絡繰る彼女の狂気が強烈。ミア・ゴス、「パール」も印象的だったけどこの映画を見て一気に好きになった。
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