羽雲ゆな

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーの羽雲ゆなのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

1は悪いことをしている人達が相手でしたが、2は悪とは言いきれない人達が相手なのが何とも言えない感情になりました。

ちさまひと神村兄弟は逆だったかもしれなくて、ちさまひの方が早く殺し屋になっていて、かつ実力が上だから正規クルーなだけで、神村兄弟の方が早く殺し屋になってたらちさまひが非正規クルーだった可能性もあると思いました。(ちさとは社会適合能力が皆無では無いので、状況が違えばそもそも殺し屋をやっていない可能性も有りますが…)

1のレビューでも書きましたが、発達障害者の観点でこの映画観ると、登場人物(特に殺し屋、ヤクザ)は多分発達障害か境界知能なんですよね。(実際、犯罪者の多くはIQが境界知能以下だったり、発達障害を抱えていたりするというデータが出ています)
1のヤクザ一家や神経質かつ独り言が多い田坂さんも多分そうですし、2の神村兄弟も兄はまだマシな方ですけど、弟のほぼ完全に他人の女性に対する距離感のバグり方や勘違いとかが完全に境界知能か発達障害のそれなんですよね…。
赤木さんも含め、3人とも「正規クルーを殺せば空きが出て昇格出来るかもしれない。」という噂話を信じて、その後どうなるかを深く考えずに行動してしまう辺り多分頭が良くないですし、見ていてもう少し頭が普通だったらまともな生活が送れたのかと思うと切なくなります。

ちさまひもそうですけど、多分この映画に出てくる人達って「社会から取りこぼされた結果、法的にブラックな仕事に就かざるを得なかった」人達で、言ってしまえば「社会的弱者」なんですよね。
定食屋の「価格の壁」の話をしているシーンとか正にそれで、1より2は普通に生きられない結果、社会的弱者になった人間をしっかり描いているなと思いました。
そう考えると、この映画って敵はいるけど悪い人はいなくて、強いて言うとしたら悪いのはこの人達を取りこぼした社会のシステムなのではないかと思います。

普通に生きられない人達が普通に生きられないなりにどうにか生きている。
どうにか生きているけど、どうにもならない時もある。
そういうところをしっかり描いているのが、この映画の好きなところです。
世の中どうにもならないことなんて沢山ありますし、日常を送れることや普通に生きていられることって当たり前ではないんですよね。
この映画を見て少しでも「当たり前」に生きていけない人間がいることを知っていただけたら良いなと思いました。
羽雲ゆな

羽雲ゆな