めたわに

ひとくず 新ディレクターズカットのめたわにのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

監督・脚本・主演 上西雄大。再演ぜずと宣言したうえで舞台でも上演。上西雄大入魂の作。

こんな素晴らしい映画が日本にもあったのか…また主演の上西雄大の不器用な演技(決してうまくない)が、逆に胸に刺さる。カネマサ(上西雄大)が空き巣に入った部屋には、育児放棄された少女(鞠)がおり、同じ様な境遇だったカネマサが感情移入していく…というストーリーも秀逸。
鞠を虐待していた凛(鞠の母)のカレを殺し、その後は束の間の疑似家族の生活をおくる3人。カネマサは就職もし、鞠の誕生日も祝おうとしていた矢先にカネマサはカレ殺しの為の捕まることに…
前科持ちのカネマサを雇った社長の優しさ、長年カネマサを気にかけている刑事の温情も涙を誘う。
鞠の根性焼きの跡を気遣い教師に託すカネマサ、カネマサの殺人の前科の理由も、優しさが不器用すぎるカネマサの姿をあらわしている。
とにかく上西の演技がまさにこのストーリーの為じゃないかと思う程素晴らしい。演じるのが彼じゃ無かったら…ストーリーがこうじゃなかったら…本作は無かっただろう。クサ過ぎるストーリーを純なものにみせているのは、上西の不器用な(下手な)演技があったからこそ。これ、褒めてます。

1つケチをつけるとしたら、ラスト!カネマサ出所時、オカンと感動の対面。アイスのくだりも回収。そして傍らには凛と成長した鞠の姿。これは感動のダメ押し。このダメ押し、無いほうが良かったくらいのお涙シーン。

キャストは地味でも、もっとこんな映画を世に知らしめて欲しい。いや、自分だけでもこんな映画に出会えて感謝!
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