このレビューはネタバレを含みます
絵画を素材として扱う映画というと、描かれているモチーフを取り上げて図像学的な話をすることが多い(「ダ・ヴィンチコード」のように)が、今回は描画材の方に着目していて新鮮味があり面白かった。
だからこそ、登場した仁左衛門の「黒い絵」には疑問が残る。モチーフが愛する妻であるのに、「恨み」を込めて描いたということに繋がりが見えない。そもそも具体的なモチーフのない、モリスの描いた「黒い絵」の方がイメージに近いような。
仁左衛門は「恨み」よりも「後悔」のほうではないか?
説明的で過去パートが少々長く、思ったよりもパリに行ってからの展開が早すぎたが、全体としてストーリー展開は面白く映像も楽しめた◎