coco

岸辺露伴 ルーヴルへ行くのcocoのレビュー・感想・評価

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)
3.4
2回目見てきたのでレビュー。

青年期の露伴を演じた長尾くんのファンなので彼が出演すると知りドラマ版は履修済み、原作は未読の状態で。前情報として監督からのオーダーで高橋一生さん演じる現在の露伴にあまり寄せないでと言われていたとのことで良い意味で今の露伴先生との乖離が面白いなと思った。露伴先生にもあんなピュアで普通の人の時代があったんですねっていう驚き。いやでもよくよく考えたら彼が自分の過去を振り返る回想なので自分を相当良い子ちゃんと美化して記憶してるのでは!?本来の彼はもう少し捻くれていたのでは!?と思ってしまいました。どちらであっても美味しいから良し。
とはいえ全くかけ離れているわけでもなく後頭部から背中にかけての立ち姿、歩き方など現在の露伴先生に重なるところもありこの後の空白の何十年間の成長を見てみたいなーと。

長尾くんは本作がスクリーンデビュー作でしたがお顔がとにかく綺麗なので大画面映えしていてシンプルにわぁって嬉しくなった。木村文乃さん演じる奈々瀬に絆されて惑わされていく描写がとても丁寧に描かれていて1人の青年の心の移いをのぞいてしまっているような感覚。じめっとした湿度の高そうな季節、人里離れた山奥、広いお屋敷、時折鳴る風鈴の涼しげな音。どこか懐かしさもあり不思議な雰囲気にじわじわっと吸い込まれていく感じ。あんなところに下宿して一夏過ごしてみたい。個人的にはルーヴルパートよりこの日本パートの雰囲気やお屋敷が気に入ったな。毒舌おばあちゃんとヤイヤイ話しながら骨董品の数々をじっくり見てみたい。

ルーヴルに移ってからの一言目の感想は高橋一生さんパリに馴染みすぎ!おしゃれすぎ!あんな小さな丸いサングラス似合う人そうそういないって!飯豊まりえさん演じる泉くんも衣装が本当にドレッシーで可愛くて最高。鮮やかな紫と大きなヘアリボンがとてもよく似合っていて溌剌としたキャラクターを象徴しているかのよう。2人のテンポのいい掛け合いも相変わらず素晴らしい!本当はもっとこのパートたくさん見たかった…。あとヘブンズドアのシーンは何度見てもワクワクする。素晴らしかった。もっと出てくるかと思ったけど案外少なくてヤキモキ。でもここでやるのか!って思うような場面であって満足度は高い。

一つ惜しいなと感じたのは前半かなり丁寧に描いていて中盤のルーヴルの作品や館内シーンは結構駆け足だなと。終盤は綺麗に伏線回収してくれるが説明過多のようにもとれるので少しだけ間延び感。最後まで疾走感を持って駆け抜け少し謎を残してもよかったのでは?と思った。でもエンドロールが有無を言わさぬ演出で本当に良い。音楽と映像がとてもよくマッチしていた。ずっと見ていられる。

ドラマに比べると尺が長い分密度はちょっと落ちたかなって思うけどその分丁寧に作り込まれたストーリー、原作やドラマ未履修勢にも優しいつくりでトータル的にかなりよかった。もし次回作があればもっとカオスで、でもリアリティある感じに振り切ったものを見てみたいなと思った。露伴先生と泉くんのコンビはもう鉄板の名コンビ!!
coco

coco