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特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテストのssiのレビュー・感想・評価

5.0
2023年 127本目
劇場57本目


もう最初から満点にするのは決めていました。2019年公開『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』以来、約4年ぶりとなる新作OVA。もう開始1秒で涙が出てしまった。今回は少人数による編成で行われる"アンサンブルコンテスト"に向け、これまでメインキャラクターとはあまり関わりのなかったメンバーとの掛け合いを中心に進んでいきます。

大多数を要する吹奏楽部ならではの部分を今回も丁寧に描いていました。「自分にとっては当たり前でも、誰かにとっては当たり前じゃないこともある」というセリフが印象的でした。様々な人間が同じ場所で関係を構築するにあたって、非常に大切なものであると感じます。

主人公であり、今作から新任部長を務める久美子の初仕事という内容ですが、3年生組もちょこちょこ登場。オーボエの鎧塚みぞれに関しては、「内側から窓を開けられなくて、外側から開けられるのすごいね」、「自分からもお礼を言うよ」など、彼女の成長の兆しが見えた脚本も山田尚子監督作品『リズと青い鳥』を愛している私からすると、とても暖かな気持ちになりました。

響け!ユーフォニアムシリーズは、演奏シーンはもちろんのことですが、それまでの過程や繋がりの大切さを教えてくれる人間ドラマ的な部分があるところが非常に魅力的な部分であると感じます。様々な人間と衝突しあい、自分の中での答えを見つけ、それを本番にどう繋げるか、第1期から私がユーフォシリーズに惹かれる部分です。

やっぱりアニメーターさんは、キャラクターを演じられている声優さんと比べると、メディア活動も踏まえて、なかなかスポットライトが当たらない部分があると感じます。ですが、私達がアニメーション作品を毎シーズン観られているのは、毎日1秒1秒のために、命を削ってアニメーションを描いてくれるアニメーターさんの存在があることを忘れてはいけないと、今作を観て改めて感じました。日本が誇るアニメーションというコンテンツを日々支え続ける人たちが幸せになれるような社会にするには、私達消費者が少しでも声を上げることが大切なんだと思う日々です。
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