だんぷまみず

風の谷のナウシカのだんぷまみずのレビュー・感想・評価

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
4.9
緊急事態宣言明け、劇場での映画鑑賞復活作品は、「一生に一度は、映画館でジブリを。」にて本作を。

何度も観ていた作品の筈が、金曜ロードショーでしか観た事無かったので、ちらほら初めて観る様なシーンが…笑

地球の自浄作用と共に生きる人間、反対に争う人間のお話。
戦争で全てを失い、大地を汚してしまった人間に代わって、命溢れる世界を取り戻そうと働く地球に対し、何度も同じ過ちを繰り返そうとする人間。両者の橋渡しとなるナウシカ。

ナウシカの聖人ぶりがとにかく凄くて。ただ序盤のジルが殺されたときの、烈火如くの怒りが人間らしさの片鱗。あの出来事以降は自分の気持ちを諫め、風の谷のどころか人間のリーダーとして滅私奉公のいたわりと友愛が溢れている。風の谷を襲ったクシャナも、アスベルも蟲も何もかもを救おうと自らを犠牲にし過ぎていて辛い。
子ども達を励ますシーンと、ラストの王蟲のシーンでは大ババさまと同じくらい泣いた。

今観ると風の谷の社会システムが理想的な姿なんじゃないかと思う。老若男女問わず全員が村のために働き、年齢問わず重要な仕事にもつくし。若い男の人が変に少ないのは爺ばかり活躍するせいか?ナウシカはこの環境で育ったが故の人間でしょう。とはいえ幼い頃にナウシカは、村のために仕方なかったとはいえ、夢に出るほどのあんなトラウマ抱えた上で、よく蟲を含めて多くの命と理解し合うって茨の道を選べたなと思う。

ジブリ作品としては食事シーンが非常に少ない。アスベルとチコの実を食べるシーンのみで全く美味そうではない。アスベルとはこれをきっかけに理解してもらえる様になっていくけど、クシャナ殿下とは少ない言葉しか交わしていないのに、あんなに強情なお姫さまが変わっていく。それほどナウシカの行動がどれだけ人の心の奥深くに刺さっているか。

「火の7日間」の後、伝説となった出来事がナウシカによって再びなされるわけだけど、三度目が起こらない様、自分たちができる小さなことでも始めていこうと考えさせられる。

久石譲の音楽を劇場で浴びる幸せ。