えいこ

風の谷のナウシカのえいこのレビュー・感想・評価

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
5.0
何度も観ている名作を初めて映画館で鑑賞。素晴らしい。感情を呼び醒す音楽、王蟲の迫力、腐海の虚しく静謐な世界観、全く古びておらず、むしろ今だからこそメッセージが胸に迫る。

ナウシカの慈しみの表情と大切なものを護らんとする勇ましい表情の振れ幅、メーヴェやガンシップで飛ぶ浮遊感、王蟲の触手の繊細さ、ジブリの表現力には圧倒される。

自然への敬意を失いすべての頂点に立つかに錯覚し、迫りくる危機を前に覇権争いをやめない人類への警鐘。巨神兵はコントロールできない力の象徴であり核のメタファー。血を流すことを怖れず、力での制圧を目指すクシャナと、蟲も含めて誰も殺さずに共存と融和を目指すナウシカ。原作も読むと、クシャナの背景も解り、ふたりとも魅力的なリーダー。

優しく母性的でありながら、気高く勇敢で強い、ナウシカは人間を超えてもはや神の領域。すべてを背負ったまっすぐな自己犠牲に涙した。
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