えいこさんの映画レビュー・感想・評価

えいこ

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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.8

待ちに待ったPart2をIMAX先行上映にて鑑賞。

音響、衣装、俳優陣、どれをとっても素晴らしく、どのシーンもとにかく画が美しい。中世と未来が入り混じり、信仰による神秘性や土着性が加わった独特の世界
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

ヴィム・ヴェンダースらしいカットや劇伴。短い時間軸のまるでロードムービー。カセットで流れる曲は特に絶妙。

ひとり暮らしの平山の毎日の生活が淡々と描かれる。雑念をそぎ落とし粛々とひとつひとつのルーティ
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EMMA エマ(2020年製作の映画)

3.6

偶然の鑑賞。画面がとにかく美しくて目が離せなかった。イギリスの田舎の風景、邸宅の内装、服飾、食器などなど。

美しく利発だが無意識の高慢が鼻につくエマだが、人間関係上の小さな出来事を経てほんの少しずつ
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白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)

3.4

池松壮亮の映画はいつも楽しみにしている。ジャズピアニストの役とはまた一層。
演技は皆達者な役者さんばかり。カットやライティングもとても好みで雰囲気は堪能したものの、時間軸や空間軸の行き来が煩わしく、ド
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

4.2

久しぶりに観たピクサー作品。アイデアとビジュアルがとにかく新鮮。「元素をキャラクターにする」ことを起点に、感情表現、アニメーション、民族や家族の継承、自立やアイデンティティ、格差やインクルージョン…細>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

話題の作品をようやく鑑賞。吉野源三郎の原作とは、メッセージに通じ合うものはあるものの、全く別の物語。

今までの作品の様々な要素が盛り込まれたまさに宮崎駿らしい作品。男鹿和雄らの美しい背景、個性的なキ
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若き仕立屋の恋 Long version(2004年製作の映画)

3.7

湿度の高さ。雨。弦楽器の音。抑えた表情のチャン・チェンと、誇り高く美しいコン・リー。ちまきを包む手指から目が離せない。ドレスにアイロンをかけながら高まっていく欲情。初めから最後まで、手、手、手。見せな>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

3.9

目当ての作品の上映時間に間に合わず、偶然観た作品。

パリの風景を乗客気分で懐かしく思い出しながら、運転手シャルルとともに聴く92歳のマダムの人生。初めてのキスの思い出からはかけ離れた壮絶な日々も、振
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キネマの神様(2021年製作の映画)

3.5

山田洋次監督らしいノスタルジックな作品。キャスティングがよい。北川景子の昭和の女優感。見惚れる。あの頃の映画の台詞も素敵。

若い頃のジュリーからはかけ離れた風貌の現在の沢田研二が、不思議と役にハマっ
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仕掛人・藤枝梅安(2023年製作の映画)

3.6

トヨエツの梅安先生。坊主頭も含めて長身が姿良し。天海祐希は上村松園の美人画のようで見惚れる。早乙女太一の立ち回りも素敵すぎる。愛之助の彦さんも似合っていて、キャスティング佳き。

暗めの照明が活きて画
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そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)

4.4

初めて観た三浦大輔監督作品。トヨエツ見たさで選んだが、キャスティング、脚本…思いのほか良かった。特に、劇伴の効果は大きく、傍目にはどうしようもない主人公の行動が、陳腐な嫌悪感に落ちることなく、ぎりぎり>>続きを読む

太陽の塔(2018年製作の映画)

3.8

岡本太郎展以来、気になっていた作品。展覧会で観たインタビューは、思索的で真っ直ぐな印象で、あの「芸術は爆発だ!」のイメージはごく一部でしかなかったことを知る。

本作は、研究者、哲学者、建築家、美術評
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パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト(2014年製作の映画)

3.8

音楽系の映画が観たいなぁとアマプラで見つけて鑑賞。

若い頃スペインにハマり、フラメンコは踊りよりも歌や音楽、リズムが好き。パコ・デ・ルシアも聴いていたが、本作を見てあらためてその孤高な天才ぶりに感嘆
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RRR(2022年製作の映画)

4.8

3時間という長さに躊躇っていたが、評判の高さに意を決して観賞。全く長さを感じさせない圧倒的なエンタメ作品。

画面から感じる熱量と圧がとにかくスゴい。息もつかせない展開のスピード感、壮大な音楽と迫力あ
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すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)

3.8

映画音楽について、歴史や関係者へのインタビューで解説するドキュメンタリー。映画のシーンやオーケストラの演奏が挟まれることで、とても多面的で贅沢な内容。

作曲家の素顔や思い、監督や演奏家、様々なスタッ
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余命10年(2022年製作の映画)

4.0

予告編だけで涙ぐみ、お涙頂戴ものではなかろうかと、警戒しながら見始めた。しかし、藤井道人監督、キャストも安定感のある好きな俳優さんばかり。前半から涙ぐむものの、警戒は無用だった。

光や風、空や海、自
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.7

休日の何でもない夕方にとてもハマる作品でした。とにかく池松壮亮と伊藤沙莉がもう照生と葉ちゃんそのもの。

同じ日の出来事を一年ずつ振り返っていく構成だが、現在につながる小さな棘のようなものは随分前から
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.6

慈愛に満ちたとても良い作品でした。リアルとファンタジーの混り具合が絶妙。お彼岸にこの作品を観ている不思議。

川っぺりとはよく言ったもの。隣との物理的な境界。人と人との関わりの境界。前科者とそうでない
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花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.3

テアトル梅田閉館を前に、長年見逃していた本作を鑑賞。微睡むようなカメラワークとラテン音楽。印象的な赤。懐かしいウォン・カーウァイらしさを堪能。

マギー・チャンが次々纏うチャイナドレスが、凛としたスタ
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花様年華(2000年製作の映画)

4.3

テアトル梅田閉館を前に、長年見逃していた本作を鑑賞。微睡むようなカメラワークとラテン音楽。印象的な赤。懐かしいウォン・カーウァイらしさを堪能。

マギー・チャンが次々纏うチャイナドレスが、凛としたスタ
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.8

懐かしいテーマ曲。体感するジェット音と旋回感覚。IMAXにて鑑賞すべし。

トム・クルーズの年齢を感じさせない身体に驚く。第一線からの離脱と若手への継承、仲間を失った過去と、だからこその今、ノスタルジ
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犬王(2021年製作の映画)

3.3

最近ハマっている源平もの。初めのストーリー部分は、背景画も音楽もアニメーションもとても好み。友魚と父親の訛りもよい。

途中からの音楽パートも嫌いではないが、もう少し物語が欲しかった。観世と比叡座の対
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MIFUNE:THE LAST SAMURAI(2015年製作の映画)

3.8

三船敏郎と黒澤明のタッグは唯一無二。インタビューで構成される三船の魅力。傍で見てきた人が語ると、言葉で語られない部分が浮かび上がるのがまた良い。
「我慢の人」「勉強家」豪放磊落な役柄とのギャップが魅力
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つみきのいえ(2008年製作の映画)

4.0

絵本のような作品。環境変化に適応して、自分の手で生活を続けていく現実。一方で、置いてきた過去の思い出も消えてしまったわけではない。妻と出会い、子どもが生まれ、成長して…今がある。思い出すことで、今の生>>続きを読む

大河への道(2022年製作の映画)

3.9

中井貴一の演技の幅に感服。現代の公務員のコミカルな生真面目さ、時代劇の体幹の据わった裃姿、どちらも完璧。ワキも安定の役者さん揃いで、時々クスッと笑いながらじんわり感動。松山ケンイチの軽妙さも好もしい。>>続きを読む

岸辺の旅(2015年製作の映画)

3.9

原作の読後感が好みだった。帰ってきた優介を自然に受け入れる物語に若干の違和感があったが、浅野忠信と深津絵里の演技でとてもしっくりきた。旅を続けていく過程で解けていく心のわだかまり。原作を補って余りある>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

4.5

DUNEから気になっているヴィルヌーヴ監督作品。常に光少なめの暗いトーンが特徴的。

未知の生命体との意思疎通を描きながら、「流れていく」ばかりではない「時間」を鍵に物語が進む。説明少なめで、映像で語
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キツツキと雨(2011年製作の映画)

4.6

印象的な台詞や斬新な画面はなく、むしろ素人が撮ったような自然さ。なのに、じわじわと気持ちが動くのは演技と演出の力なのだろう。役所広司はもちろん、脇を固める実力派たち。小栗旬や高良健吾もリアル。役所さん>>続きを読む

ある船頭の話(2019年製作の映画)

3.2

オダギリジョー監督作品。錚々たるキャスト、スタッフ、受賞歴に期待して観た。

ウォン・カーウァイと組んでいた頃のクリストファー・ドイルとはまた違って、静かなカメラワーク。ただただ美しい絵画的な構図にう
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タンポポ(1985年製作の映画)

4.3

食べることは生きること。一軒のラーメン屋を立て直す物語を軸に、様々なエピソードがこのひとつのテーマで編み上げられる。その一つひとつに伊丹十三の粋なこだわりが見える。悪趣味に堕ちかねないギリギリをセンス>>続きを読む

なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

4.6

新書を読み、先の選挙で悲願の選挙区当選のニュースを見て涙。そしてようやくの本作鑑賞。

小川淳也さんの17年を追ったドキュメンタリー。真っ直ぐ前を向いて人々に向き合う姿は、32歳の頃から変わらない。監
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.6

皆さまのおすすめに従いIMAXにて鑑賞。完成度の高い映像美と壮大な世界観を堪能。ナウシカ原作を思わせる。重厚ながら、プリミティブで民族的な音楽も素晴らしい。

小説も未読で、以前の作品も観ていないので
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岸和田少年愚連隊(1996年製作の映画)

3.0

昔の岸和田の風景を懐かしむ。井筒監督の映画らしく、喧嘩ばかりでストーリーらしきものはあまりない。やられたらやり返す的な日常の中に垣間見える大人のやりきれなさ。芸人ばかりの出演の中で、母親役の秋野暢子の>>続きを読む

息もできない(2008年製作の映画)

4.5

「あゝ荒野」でヤン・イクチュンを知った。私には初めての韓国映画。暴力描写に覚悟して観たが、俳優たちの魅力と物語に引き込まれ最後まで目が離せなかった。

サンフンとヨニ、その家族たちのあまりに過酷な現実
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天国と地獄(1963年製作の映画)

4.8

安定の役者陣による黒澤現代劇。三船敏郎はもちろん貫禄だが、本作は仲代達矢と何といってもラストの山崎努。そして普遍的な作品に仕上げる脚本の素晴らしさ。

貧富の格差を象徴的に見せる高台の豪邸と川沿いのバ
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MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

4.7

今もなお苦しむ人のいる深刻な公害被害について、写真家ユージン・スミスの関わりにスポットを当てて描いた作品。

痛ましい被害を写しながらも、映像の美しさや構図が印象的。音楽や水音などの音響(もちろん静け
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