バナナ

風の谷のナウシカのバナナのレビュー・感想・評価

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
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自然破壊や環境汚染、ひいてはそれを引き起こした資本主義や消費社会への切実な批判が込められていると感じた。
しかも公開当時はまだソ連が現役で、東西冷戦の真っただ中であったという事に留意すると、今よりもはるかに核戦争の可能性が差し迫っていたという点も説得力を強める重要な要素かと。
それに対して、あくまでも対話の姿勢を貫き、他者との共存を図ろうとするナウシカの真摯な姿勢に込み上げてくるものがあった。
ラストは死んだかどうかは伏せておいて、現実か幻か幽霊かわからんままランララ♪で終わって欲しかったな。ご都合主義的であまり好かん。

改めて観るとやはり宮崎作品は、看板としては大衆受けする娯楽作品のように見せかけていながら、裏ではとても高度な政治性を帯びていて、そのバランス感覚が本当に優れていると思う。
にもかかわらずその上澄みだけをすくって宮崎駿を単なるファンタジー作家に貶め、その作品さえもエンタテインメントとして「消費」してしまう「資本主義」の大衆を見ると、なんもわかってねえどころか矛盾してるやんけと嘆かわしくなる。アベンジャーズと同じノリで観るなよ。
グレタトゥンべリの演説を批判するならナウシカを観て感動する資格はないぞ。
どちらも一人の少女に大人の愚かさを背負わせてしまっているから。