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大雪海のカイナ ほしのけんじゃのmitakosamaのレビュー・感想・評価

2.7
どんな映画か判らず見に行ったら、先にテレビシリーズがあってそれの続編だった…。こんなテレビアニメがあったことも知らなかったし、映画の宣伝でも続編って明記して無かったしな〜。
(テレビシリーズの続編である事を知らせないのは、見てない人にも劇場に呼ぶための手段なのは重々承知。見事それに引っかかったわけだ。)にしてもちょっと不親切だったかなぁ。
どうせならテレビシリーズを再編集した総集編映画を前編として公開したら良かったのに。
或いは、序盤をもっと端折って、テレビシリーズを見なくてももっと理解が出来る構造の作品に出来た気もするが…。

と、色々思った上での感想。まぁテレビシリーズを知らなくても一応話は理解できる。序盤はだいぶ面食らったけど。

世界が丸い玉の様な雪の海に覆われた世界。巨大な木の元で生活するアトランド国は新たな水を求め旅をする。
主人公の青年カイナ。ヒロインである王女リリハ。親衛隊長のオリノガ。更に元々敵だったバルギアの兵士達。バルギアは女士官アメロテが中心人物。彼らが特殊な船に乗る。

まず主人公のカイナが、無個性過ぎて全然主人公らしくない。中盤から受動的ながら活躍するが序盤はほぼ空気だ。テレビがどうであれ、今作が単体の映画として、先ずこの子が主役なんですよと視聴者に伝わってないのは問題ある構成だと思う。

世界感は本当に面白い。雪を表現するのに大きな丸玉だだったり、独特の生物や文化形態。
船を浮かすための浮遊棒など、他で見れない個性的な表現が多くて面白い。バジェットのデザインは本当に秀逸だ。
原作は弐瓶勉と、シドニアやBLAMEなどと同じ作者だ。ほんとポリゴンピクチュアズは弐瓶勉が好っきゃなぁ。

後半から、大軌道樹に根ざす独裁国家プラナトに拿捕される。そこのリーダーであるビョウザンは、過去の文明の記憶から大軌道樹を切り倒せば世界が元に戻ると信じ実行に移す。

ここでこの世界の構造が理解できる。過去の文明により世界は変容してしまい雪に覆われた。文字などの文化は紛失しているが、一部の人間には読める。プラナトには巨大ロボが存在する。

これで、あぁそうかと納得。ナウシカだ。大雪海を腐海に置き換えれば一目瞭然。腐海を焼いて世界を取り戻そうとするクシャナがビョウザン。大軌道樹が世界を修復するための装置だというのも腐海と同じ。
しかも後半のアクションとしてカイナがリリハを救出するシーンは完全にラピュタなんだよな。

いかにアニメ文化が、いまだ宮崎駿の呪縛から逃れられないかがよく判った。脱ジブリが出来ずに終わったアニメって実際山ほどあるもんな。
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