福丸

ザ・キラーの福丸のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・キラー(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

うーん、面白くなかった。

シナリオは起伏が少なくて興味をそそられない。
演出も「かっけー!!」と思える程上がる演出はファイトシーンだけだった。
殺人シーンは主人公が殺し屋だから応援する側になってしまいゾディアックの様なハラハラドキドキする様な殺人シーンじゃなかった。主人公が殺人する側の場合、ジョンウィックみたいに爽快路線に振るか、無事に暗殺できるかのハラハラ路線に振るか、ノーカントリーみたいに「主人公狂ってる」路線にした方がいいと思う。ザ・キラーは手際良いけど同情しつつ仕方なく殺す感じだったからそのどれでもなく微妙な感情になった。どちらともつかない2面性を客観的に描くのがソーシャルネットワークとかで見せたフィンチャーの特徴でもあるからプロの冷酷な殺し屋でもなく人間味あふれる殺し屋でもないのはフィンチャーっぽいんだけどソーシャルネットワークと違ってミニマルな話だからただ地味なだけで終わってしまっている。

フィンチャーだから相変わらずカメラワーク、映像、演出、音楽、編集のクオリティは素晴らしいんだけど、肝心の脚本がダメだから退屈でしか無い。

トレンドレズナー、アッティカスロスの音楽は相変わらず素晴らしかった。あの音のテクスチャの解像度が高い感じはサスペンスに合うしスリルを掻き立てられる

物語は結局、計画通りを信条にしてた完璧主義者で何としてでも数少ない1人になろうと思っていた殺し屋が、人生は予測不能だけど自分はそれを認められない多数の1人なんだと自覚したっていう結論っぽいけど、
そこもいまいち伝わらないし、「人生は予測通りにならない」を伝えたいとしても「だからなに?当たり前じゃね?」と思って説得力に欠ける。
完璧主義なのはフィンチャーもそうだから、フィンチャーはめっちゃ共感するテーマだったのかな?でも多くの人が共感するテーマではないと思う。
起伏もなければメッセージ性も薄い物語だった。

フィンチャーには天才的な脚本家が付いてくれれば最強なのに....
ソーシャルネットワークのアーロン・ソーキンとまた組んでくれ....
福丸

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