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演者のquoquo55のネタバレレビュー・内容・結末

演者(2020年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

戦時中の3人の義姉妹。長男の嫁はいわゆる”気狂い"で、そのためこのご時世にもかかわらず、本音で語ることをかろうじて獲得している。
それに対し、理想的な戦時下の女性であろうとする次男の嫁。間に立つ三男の嫁。

戦死を「おめでとうございます」と告げる役人も、「ありがとうございます」と受ける妻も、本心で考えればありえないにもかかわらず、誰もが「演者」であることが求められた時代。
けれども、それは戦時下の日本にだけ起こりうる特異な状況なのだろうか?
社会の中で私たちは誰もが求められる「自分」を演じ、それが「自分」だと認識して気がつくことがないかもしれない。
ラストで「あなた、誰?」と投げかけられた次男の嫁は「誰って…嶋田の嫁ですよ」となんとか答えるも「それが、ほんとう?」と迫られ、言葉を失う。
”ほんとうの自分"であることは、実は難しいのかもしれない。
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