quoquo55

ナチスに仕掛けたチェスゲームのquoquo55のレビュー・感想・評価

3.6
パンフレットを買って良かった。。チェス世界王者ミルコ役は誰??と探したが、見つからず、ナチスのフランツ役の役者さんと同じだということに、パンフ読んで初めて気づいた…! あ、だから時計を賭けるとか、伏線がやっとこれでいろいろ解消!
皆さんがさんざん叩いてらっしゃる邦題ですが、ストーリー全体が主人公が精神的拷問に耐えるために「ナチスに仕掛けた」、自分を保ち続けるためのゲームだったと考えると、一応頷ける。
「オデュッセイア」、西洋人にとっては常識の古典なのだろうけど、日本の私には馴染みがなかったので調べると、この作品全体のテーマでもあったとわかった。どれほど精神を破壊されようと、どれほど漂流しても、生きて帰還する、原作者にはできなかった結末が力強く感じられた。ラストの主人公の表情、すべてを失っても穏やかだったことが、あまりにも痛ましい結果にもかかわらず、ささやかなナチスへの勝利を感じる。
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