Monsieurおむすび

アンダーカレントのMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

アンダーカレント(2023年製作の映画)
4.0
表層と深層、そして底に溜まる澱。その虚と実を、嘘と秘密を誰もが抱えて生きている。

向き合い、探ろうとするほどに綯い交ぜになり濁る真実を他人はおろか、自分だって理解できてはいないだろう。

わかってるなんて傲慢
わかり得ない痛み
わかられる怖さ
夫の失踪と現れた男によって、穏やかだったかなえの日常に沸き立つ情念、そんな全てを包み、そっと讃える柔らかな眼差し。

今泉監督作品としての確かな視座と原作へのリスペクト。
原作に忠実な映像化のその先。
堀からかなえへ、諦観と共に吐露した「自分でもわからない」想いを伝えるラストシークエンスは、それまでの素晴らしい135分を凌駕する恍惚のシーンだった。
Monsieurおむすび

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