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クレオパトラ in Cinemaのロアーのレビュー・感想・評価

クレオパトラ in Cinema(2023年製作の映画)
4.5
Kバレエカンパニーの舞台を映画館で観るのも6回目になりました(生公演も合わせれば7回目)。入場特典のクリアファイルもだいぶ溜まってきてニヤニヤです。

今まで観てきた演目は元のあらすじを知っている話だったり、別のバレエ団の演目を観たことのあるものだったのに対し、この「クレオパトラ」は熊川哲也完全オリジナルのバレエという点でかなり期待大でした。

クレオパトラが《蛇の化身》というのも多分、熊川哲也のオリジナル設定(解釈?)だよね?この要素がかなり重要で、振付や衣装にも蛇の要素がたっぷり盛り込まれていてその表現に圧倒されました。この解釈でのクレオパトラって、日本で言うところの女郎蜘蛛(絡新婦)に近い気がする。

クレオパトラを演じている飯島さんも本当にすっごく美人。
とってもしなやかな動きをする方で、予備動作なしに気づくとすっと次のポジションにいるような感じがしました。後々披露される股関節の柔らかさもすごかった。

Kバレエって衣装もいつもとても豪華で、クレオパトラのスカートにプリーツが入ってるのが天才過ぎて心の中で思わず拍手です。
足を高く上げると黄金のスカートが扇のように広がってめちゃくちゃ綺麗で透け感も絶妙。よくよく考えたらクレオパトラのローマ時代は形こそエジプト風のドレスなのに、生地は白でローマン風だった気がする。で、エジプトに戻ってくるとまた金基調なんだよね。衣装も大事な表現のひとつということを改めて実感してすっごく感動しちゃいました。

クレオパトラが本来の姿?である蛇になる時も、あの衣装でよりインパクト増し増しになってたと思う。何から何まで劇的で、とにかく「え、やばっ!」ってなるよね、あのシーン。

"愛"じゃなく明らかに"性行為"を表現している振付もあるので、スネーク・プレイというか・・・体の柔らかい人にしかできない新しい体位を見てるような気分にもなったけど、あくまでこれは芸術的で炎上するようなそういうのではないので大丈夫です(いろんな意味でセンシティブな内容はやめろ)。

でも何と言っても最後の最後の5分くらいのシーンが凄まじかった。
最後の大階段でクレオパトラに関わって死んでいった男たちが勢揃いするシーンも見どころだったけど、再び蛇の化身となった飯島さんの迫力がものすごくて、あれは実際に観ないと言葉では言い表せない。
これはいつか生舞台も観てみたい!と興奮冷めやらない作品でした。
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