あ

バニシング・ポイント 4Kデジタルリマスター版のあのレビュー・感想・評価

5.0
この映画の脚本は、キューバ出身の有名な作家が書いたらしいんですが、本作は良い意味で脚本の存在を感じない映画でした。オチはもう”ザ・アメリカンニューシネマ”で、物語という物語もありませんでしたが、オチ一辺倒の映画というわけではなく、全体を通して「コワルスキーの傷」を燃料にひた走る白いダッチチャレンジャーという主軸があり、それを砂埃とラジオDJ、それから亡くした旧い恋人を思わせるブランドの女、そして沿道の同調者たちが加速させていく物語には、一瞬の隙もありませんでした。過去の傷を車に乗せて消失点まで飛ばす、この単純明快でかつ重々しい行為が物語の一切を超えてしまったところに、この映画の凄みがあったように思いました。
あ