ムーミーコロコロ

世界の終わりからのムーミーコロコロのレビュー・感想・評価

世界の終わりから(2023年製作の映画)
4.5
私にとってはかなり衝撃的でした。終わったあともまだ作品の世界観に浸っているというか…。

これって現代の社会にすっぽりはまっているような…。このままじゃだめだ、なんとかしなくちゃという監督の強い思い。でも、世の中はみんな自分のことばかり。食糧問題、戦争、病気。みんな、なにかを怖れながらも真剣に立ち向かおうとしていない。政治家は私欲に走り、世間は見栄を張ったり、誹謗中傷…。

ハナがこの世を救うのを諦めてしまったのは、そういう私達の我があまりにも大きすぎたからではないでしょうか。あの時、もっと多くの人間がそのことに気づき、優しい地球を目指していたら、結果は変わっていたはず。

だから、ハナは未来にその願いを託した。

最後に、温かな終わり方が見られたのが救いでした。まだ絶望を感じなくていい。1つ変われば未来は変わるんだということを示してくれたように思います。

今私達が早急に考えなければいけないこと、大きなことをやるのではなく、一人ひとりの考え方を変えるということ、それが大切なのではないでしょうか。それが紀里谷監督のメッセージなのではないかと思います。

ただ、この作品が全国でたった1つの映画館でしか上映されていない(?)ことをとても残念に思います。

日本にはこういう監督も必要なんじゃないかと…。この作品が最後だと聞きましたが、ぜひぜひもっと作ってほしい。そんなことを願ってやみません。