プライ

ペイン・ハスラーズのプライのレビュー・感想・評価

ペイン・ハスラーズ(2023年製作の映画)
3.5
無一文のシングル・マザーが製薬会社に就職して成り上がるつもりが、邪悪な陰謀に身を投じてしまうという実話を基にしたクライム・ドラマ。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の真面目バージョン的な作品。「薬を売って儲けるぜ!イエーッ!」と景気よく豪遊に金を使うテンションは同様。最盛期に登り詰めてから凋落する下り坂も同様。とはいえ、ガン患者の鎮静剤というセンシティブな題材を扱っている以上、物語の収束は真面目。栄枯盛衰として終わるのではなく、不正に薬を売り付け、金儲けという劇薬の中毒にハマった主人公による自責を描いている。金は人を変えることや人に悲劇をもたらすことを当事者自身の口から反省として伝えることで説得力がある。そして、鎮静剤を求める患者たちの痛みを利用してきた身から転換し、真に他人の痛みを理解して自戒する姿勢は設定の妙が相まって心に響く。病気の症状に対しての処方は薬だが、他者の心に対しての処方は良心なのだと思う。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐
星の総数    :計14個
プライ

プライ