Reno

終わらない週末のRenoのレビュー・感想・評価

終わらない週末(2023年製作の映画)
4.0
大好きなドラマ「ホームカミング」のサム・エスメイル監督作品ということで、楽しみにしていたけど、まあまあな作品だった。ここ数年の作品だとシャマラン監督の「ノック」やジョーダンピール監督の「ノープ」を見た時と少し似た気持ちになる。

シーンの撮り方や音楽、不気味な演出等、あらゆる面で不穏さが出ている感じは、ホームカミングを思い出す感じで、スリラー系が好きだから好みだったけど、ホームカミングみたいなヒューマンドラマの要素はあまり強くなくて、長時間かけてもったいぶった割に、結局ただのそういことですかという意外性も何もない着地なのは残念

まあでも怖いとは思うけどね
確かにこうネットワークが遮断されて、情報社会じゃなくなるだけで、人間社会なんて途端に無法地帯で弱肉強食の時代に逆戻りだろうし、いかに今、情報社会で、みんながみんな繋がれていることがありがたいかは感じた

あとやっぱり世界の中心アメリカが一番、リベラルで民主的な声の先導者として立ってくれているのは常日頃思っていたけど、だからこそ、こうしてアメリカが機能不全にされたら日本含め世界全体が頼りの柱を失ってしまうってことで、それもまた怖いことだなって。いかにアメリカに頼っているかも思い出させられる。

だって、MeToo運動だってBLM運動だってみんなアメリカからだもんね。もちろん色んな国で人権のための戦い、平等のための戦いは起きてるけど、やっぱり超大国アメリカは良くも悪くも世界の顔的存在で、アメリカの影響力は確かだから、そのアメリカが死んだ場合、それこそ今作の中で言及されてたように、保守的で独裁的な北朝鮮や中国、イラク、現実に今非人道的な戦争を起こしているロシアやイスラエルみたいな国々が世界を安全ではないものにしそうで恐ろしい。日本だって、軍事的な物理的な危険は少ないかもしれないけど、統一教会と配下の自民党、創価学会など極右や排他的保守思想の危険分子は潜んでいて、抑止力となってくれているアメリカや国連がいなかったら、あっという間に支配されそうだよね。ていうか今ですら、事実としてカルトの言いなりの自民党が長きにわたって政権与党の座についてるし。

トランプの扇動で議事堂に暴徒が押し寄せた現実もあるしね。本当アメリカ国内で極右のクーデターによる自滅だって想像できちゃうのが怖い。それでいうと、「ハンドメイズテイル」も思い出すね。あれもある意味今作と似たメッセージなのかも。

ということで、もっとホームカミングの時みたいなちょっと独特でSF的で切なさもある、スリラーを期待してたのが蓋を開けてみれば、すごく現実世界のすぐそこにありそうな危険に思いを馳せざるを得ない内容で、現実逃避どころか、すごく将来へのリアルな不安を抱かされる作品でしたね。本当、こんな暗い気持ちになるとは思ってなかった、、笑 

とにかく世界の民主的な文明が滅びないことを願います。
Reno

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