MasaichiYaguchi

ナイアド ~その決意は海を越える~のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.9
アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞した「フリーソロ」をはじめ、「MERU メルー」「THE RESCUE 奇跡を起こした者たち」など困難に挑戦する人々のドキュメンタリーを多く手がけてきたエリザベス・チャイ・バサルヘリィ&ジミー・チンの夫婦監督が、初めて劇映画でメガホンをとった本作を観るまで、ダイアナ・ナイアドというスイマーを知らなかった。
マラソンスイマーを引退して約30年が経ち、60歳となったダイアナ・ナイアドには、ずっと思い続けていた一つの挑戦があった。
それは「水泳界のエベレスト」と呼ばれるフロリダ海峡を横断するというチャレンジ。 
フロリダ海峡にはサメや毒クラゲの恐怖や、激しい湾流などもあってオーシャンスイムの最難関とされ、そこを泳ぎ切るには想像を絶する困難を乗り越えなければならない。
それでも世界初の称号をかけ、サメよけのケージも使わずに生身で泳ぎ切ることを決意したダイアナは、親友でありコーチでもあるボニーらと共に4年に及ぶ波乱に満ちた挑戦に臨んでいく。
それにしても60歳を過ぎてから、人間の常識を超えた無謀に思える挑戦をすること自体が、自らの状況と照らし合わせてもアンビリーバブルと言わざるを得ない。
一体何が彼女を、肉体と精神を極限まで追い込む過酷なチャレンジに駆り立てたのか?
本作では、ダイアナの生い立ちや家族、同性愛者であること、パートナーとの関係をはじめ、自己中心的過ぎる為に揉める人間関係等、彼女のプロフィールを交えて、夢の実現を目指す姿が描かれていく。