ハチチ

ナイアド ~その決意は海を越える~のハチチのレビュー・感想・評価

3.8
 黄金色にこんがり焼けたアネットベニングとジョディフォスター。デカい犬と暮らし、忖度なく感情をぶつけ合う。この時代にこの括りは良くないとは思いつつ、まさにステレオタイプな『強き米国の女』という感じで観ていて清々しい。  

 何かを成し遂げる人間が持つ凄まじい自己肯定感と執念。周囲を顧みない自己中心さと夢を実現する強い信念は紙一重。ダイアナ自身が言っていたように彼女ひとりでは実現できなかったことで、自分のことしか考えていないように見えてその逆。一度離れても仲間が戻ってくるのは、人間的魅力を超越した引力なのだと思う。あまり描かれてなかったけど世間からの相当な誹謗中傷があったのも想像に難く無い。

 何かに自分の命を燃やしてやり抜く意味づけは、やはり内発的なものでしかできない。外発的ものはきっかけにしかならない。
 ボニーもジョニーも、ナイアドから説得されても拒んだが、自分が死ぬ時に何に悔いるかで決心した。数々の偉業はこうやって命を燃やすと覚悟に決めた人間が集まって成し遂げられるものだと改めて思いました。

 夢を実現するためのカネ集めと仲間集め、そして大海原へ。ってここだけ見たらワンピース。

 この手のストーリーは3時間くらいかけて長尺で仕上げられそうな印象だけど2時間でサクッと。とはいえ最後泳ぎ切って足首出た瞬間は胸が震えたよね。

 『夢を叶えるのに年齢は関係ない』『絶対諦めない』というメッセージは擦れてはいるが普遍的なメッセージ。しかし加えて、自分が死ぬ時に何に悔いるのか、挑戦しないで死ねるのか?そのために命を燃やす覚悟はできるか?という、苦痛を伴う内省と自問自答が大前提。それを圧倒的な執念、行動力で示してくれる。そんな映画でした。
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