あべきょ

レプタイル -蜥蜴-のあべきょのレビュー・感想・評価

レプタイル -蜥蜴-(2023年製作の映画)
3.2
ベニチオ・デル・トロ主演ってことでNetflixに上がってたので当然のように鑑賞。
良かったところで言うと、音響効果による緊迫感の演出はホラー?かと思うほど強度が高く楽しめた。

イマイチだったのは、やはりストーリー展開。ミステリーやサスペンス映画は長尺になればなるほど"オチへの期待度"が上がっていくものだが、一気に展開が早くなる終盤がその期待度を越えられなかった印象。身内も含めた組織的犯行、汚職というだけではよくあるパターンすぎて物足りないし、かなり引っかかるポイントもいくつかあったように思う。

女性の殺害については特に謎が残る。
①なぜ見つかるように殺す必要があったのか。
②なぜ第一発見者を犯行グループ側の人間にしたのか。
③なぜ30数回も刺して殺す必要があった
のか。
犯行がバレないために消すのが目的であれば、殺害自体が露見しないように処理することもできたはず。ましてや犯行グループの一味である人間が最もそばにいるのだから、わざわざ殺人事件にしてしまうのは不自然。
④犯行現場にあったブロンド?の髪の毛は誰のものなのか。

ミスリードといえばそれまでだが、実行犯につながる証拠がフィーチャーされながらも最終的に実行犯は分からず終いなのは残念。

⑤終盤で署長を射殺したのは誰か。
⑥なぜ署長は「逃げろ」と言った後で上階へ行ったのか
⑦署長が撃たれる直前に言った「彼ら」とは誰なのか
⑧FBIの人は何がしたかったのか
→トムを殺したいならわざわざ一旦トイレに行く意味が不明
(人数有利なのだから、後ろから襲えばいい)

以上踏まえても、あまりに多くの謎が残っており、この作品はサスペンスとしては成立していないように思う。
おそらくサスペンスとして鑑賞すれば、長く引き伸ばされた挙句、予想外でもなくスッキリもしない微妙なラストを見せられ、釈然としない感覚だけが残る作品。

一方で自分も含め、主演ベニチオ・デル・トロの渋い演技も目的の一つとして鑑賞した人にはある程度楽しめる作品になっていると思う。特に音響による緊張感×デルトロの組み合わせは『ボーダーライン』を彷彿とさせる堪らなさが確かにあった。
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