せいけ

マエストロ:その音楽と愛とのせいけのレビュー・感想・評価

5.0
正面から風格ある名作を作りにいっている心意気に惹かれてしまう
クラシカルな雰囲気と題材もあって新しさはそこまで感じ取れなかったけど、ブラッドリー・クーパーとキャリー・マリガンの演技、大轟音で鳴り響くバーンスタインの音楽と美しい撮影を映画館で体感できただけで大満足
伝記映画でどこを切り取るかはとても重要だと思うけど、今作ではかなり夫婦関係にフォーカスがあてられている
“才能ある夫の奔放な振る舞いによって傷つく妻と没落していく夫”などという手垢がついた展開ではなく、もちろん妻も苦労しているけど、双方のエゴイスティックな側面を描くことで単純に感情移入させていないのが面白い
正しさだけでは推し量れないパートナーシップの強度が主演2人の名演もあって終盤につれ行き着くところまで行き着くような
バーンスタインの生き様を明確に示したかのようなエピローグとラストのセリフも素晴らしかった