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マエストロ:その音楽と愛とのkaoruiのレビュー・感想・評価

2.5
前半に有名曲のエピソードが勿体無いくらいにサラッと触れられるが、クロスカッティングを多用した演出は凝りに凝っている。特に舞台練習からミュージカルに発展する件は瞠目する。
後半に入り創作に行き詰まり、活力を同性や薬物に求めるようになり家族に倦み退廃に陥るのだが既視感があるが、
テレビを見ているのかと思ったがインタビューの声が急に生々しくなり、生中継だと分かったり、夫婦喧嘩する二人をフレーム両端に置いて、窓の外を巨大なスヌーピーが通り過ぎたり、演出が独創的で面白い。

なんといっても今作の素晴らしさは、終盤のイーリー大聖堂でのコンサートのシーンにある。指揮者と作曲者としてのバーンスタインは一体になり、成熟した人間として妻の元へ帰る様を長回しでとらえる。小細工を廃した堂々たる絵で、このシーンだけでも見る価値がある。
死にゆく彼女と共に過ごす濃密な時間。
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