kaoruiさんの映画レビュー・感想・評価

kaorui

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エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

4.5

グロテスクで露悪趣味なんだけど、ラテンのリズムがドライブする。カフェの、客の佇まいまで含めて完全に設計された画面造形が素晴らしい。
歌舞伎の影響を受けているのだろうか黒子、そして連獅子のようで空手も使
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(2016年製作の映画)

2.5

大森監督のプライベートフィルムの感がある。島に古から生い茂る木々、毒毒しい赤い花、太陽の熱、月の光、虫の声が住む人々を狂わせる。けれどいかんせん映像が弱い。ミルズの音すら浮いてしまい方向性を失う。
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ビジランテ(2017年製作の映画)

4.0

泥のような川の中でもがく。足を取られる。
目を背けても自分の中に居座る父親の血と骨が通奏低音で、暴力と権力と欲情が映像化される。お互いの中に、目を背けても血と骨が透けて見え叶わない兄弟の再開。
出口の
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羊の木(2018年製作の映画)

3.5

エネルギーが充満して収まりきらずいびつなんだけど、それこそが大八作品の魅力だ。
6人は多すぎちゃうか、消化不良起こすんちゃうか、と途中心配になるけれど、ゴリゴリと胃袋の脈動で噛み砕く。
人情モノに逃げ
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.0

不敵な面構えのあかんやつらが自然と集まって肩よせあうカウリスマキワールド。
レストランを立ち上げてから俄然面白くなる。寿司屋のシーンはかなり突っ走ったけど、素直に爆笑した。
カウリスマキ・イエロー(
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

5.0

イマジネーションに満ちた豊かな作品だ。

登場人物が皆画面いっぱいに暴れる。
車にモノを投げつけた息子の友達の女の子のミゾオチに何の躊躇もなく一撃を入れる母親。うずくまる女の子、息子は淡々とありがとう
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

4.0

劇中曲がとにかく良い。ドラムの頭陀袋を叩くような質感、ヘフナーベースの親指タッチのうねるライン、それにかぶさるナイトレイのメジャーセブンな歌声。平井堅みたいな彼氏の歌もカッコ良い。
マークラファロが抜
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マンハント(2018年製作の映画)

2.5

様式美を楽しみに鑑賞したけど、なんか雑やな。
演歌の流れる飲み屋のお姉さん達がいきなりぶっ放すオープニングや薬品会社の面々のパーティーシーンの怪しいダンスまでは痺れたが、一気にサイドブレーキを引き上げ
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オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)

2.5

撮りたい絵のために話を作る、いわゆる全てがマクガフィンとして構成されている作品は大いにありやねんけど、最後の晩餐を撮りたかったんやろうけど、オリエント急行でそれをやるとなると、よーく考えなあかん。
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ジオストーム(2017年製作の映画)

2.5

これを言っちゃおしまいよ、の話やねんけど、予告編が1番良かったかな…。
もう少し見たいなーというところで切らなあかん決まりがあるんかなー、ハリウッドのディザスター系って。ところどころ良いシーンがあるん
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8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017年製作の映画)

4.0

かなり勇気を振り絞って女子中高生に混じって完全に小屋内最高齢で夫婦鑑賞。
雲の行き交う様で年月の経過を表現し、絶望の映像の合間に澄んだ空に突き抜ける希望を写す。なので重い重いシーンでも湿らない。
中で
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デトロイト(2017年製作の映画)

4.0

手持ちカメラのカットが等間隔に積み重なり、カットごとにジワリと混沌が深まっていく。主役となる人物たちは現れない。俯瞰すると取り返しのつかないことになっている街並み。ビグロー監督の面目如実のつかみだ。>>続きを読む

彼女がその名を知らない鳥たち(2017年製作の映画)

4.5

白石作品ならではの邪悪な種子が其処彼処にひそみ、構えて観てしまう。確信犯的で反則すれすれだ。赤黒く浮腫んだ阿部サダヲのガサツさが生理的に神経を逆撫でする。おなじみ黄ばんだフィルターで紗のかかった姉一家>>続きを読む

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)

4.0

深いタイトルだ。
天から与えられた才を核心にして、
挫折した生を送るフランクはメアリーとの暮らしの中で一歩踏み出しそうとする。デカルトを姪に送るシーンは彼の再生を予感させる。届けられたもの。
娘のレポ
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バリー・シール/アメリカをはめた男(2016年製作の映画)

3.0

とことんやんちゃなトムクルーズに魅せられる。流されるまま、目先を凌いで取り繕って膨れ上がって行く危うさの先のやんちゃな笑顔。
実話と知らされていなかったら鼻白むくらい荒唐無稽で、その無茶な設定に妙に収
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SING/シング(2016年製作の映画)

4.0

こんなに泣けるなんて!
なんといっても選曲のセンスが良い。
エルトンでもあの曲を選ぶのかー、
スティービーの数ある中でこの曲!
歌う登場人物の心情にそっと寄り添うような歌達なのだ。
井筒監督ののど自慢
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キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

3.5

前作より6dBは楽しめた。
シリーズの背骨、主人公の背広が様になってきたのが大きい。コリンファースのエレガント、ショーンコネリーやダニエルクレイグの重厚な着こなしには遠く及ばないけれど、若造の成長過程
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.5

今年初のシネマイーラ。今年もお世話になります。

シャラマン監督が飛びつきそうなネタだけど、シャラマンほど無駄に(?)(良い意味で?)格調高くない一方、緻密に脚本が練りこまれている。
オープニングのシ
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アニー・ホール(1977年製作の映画)

3.5

カメラに向かって語り出したり、ウディアレンの家族のフレームが押し出したり、おおよそ文法から逸脱する。繰り出される自虐ギャグに体力を要求されるが、
ダイアンキートンを収める絵のみがオーソドックスで、彼女
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スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2017年製作の映画)

3.5

今年最初の一本。今回は良いかな、と思ったけど息子に勧められて。
面白かった!
後半、塩の惑星で転がり出した。
ギシギシ油の切れたメカの足跡が血のようにグロテスクな地面に描かれる。
不安定な四本足を背景
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KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)

4.0

巻頭の崩れ落ちる北斎の波!
町での三味線で物語る場面が素晴らしい。
空を舞う折り紙は宮崎駿へのオマージかな。
精霊流しの祝祭感と喪失感はさすがに日本人でも描くのは難しいねんけど、庶民の口から口へ逞しく
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ドリーム(2016年製作の映画)

3.5

ケビンコスナーの大きく骨太かつ無骨な体躯が、背中が、嗄れた声がアメリカの良心を体現する。ハンマーでトイレの釣り看板をふりかぶり振りかぶり砕く。
このシーンだけでも観る価値がある。
純粋正当過ぎて少し鼻
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火花(2017年製作の映画)

4.0

初鑑賞の板尾作品は工夫に溢れていた。
熱海のシーンはどれも良かった。
砂浜から出た首の目線を追うような、
また階段や夜店の煽りそして俯瞰するカメラワークは映画のスクリーンサイズを意識した大きな絵だ。目
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ローガン・ラッキー(2017年製作の映画)

3.5

むっちゃ久しぶりのソダーバーグ。
音楽の使い方は相変わらずキレキレ。
映像のキレはやや鈍ったか。説明的なショットが増えるけどいかんせんわかりにくい。右脳で耽溺したいんだけど左脳が働いてしまう。
トラフ
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グロリア(1980年製作の映画)

4.5

観逃して以来ずーっと観たかったこの作品をまさか小屋で鑑賞できるとは思ってもみなかった。午前10時シリーズにはもう足を向けて寝られない。
最高の映像体験だった。オープニングの水彩画からバスの動きに導かれ
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新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

2.5

アイデア満載で勢いもあって、人間もしっかり描いているはずだけど、肝心要の映像が弱い。網棚のシーンはどうしようもなく弛緩する。音出したら一巻の終わり感が感じられないカメラ位置のまずさ。
ゾンビが真下にい
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ラストレシピ 麒麟の舌の記憶(2017年製作の映画)

3.0

作家性を放棄して誰にでもどの世代にも親しめる作品を撮り続ける滝田監督。ある意味ゆるくて突っ込みどころ満載なんだけど僕は好きだ。
クドイ部分や端折って観客の想像に委ねたほうが膨らんだろうなーというシーン
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ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.5

前作は規格外のデストピア作品だったが、今作は虚無を描く。
普通にレプリカントなゴズリングが淡々と虚無な絵を重ねる前半。何も無い。服従である。そういう存在なのだから、何も無い。
一転自分の出生の秘密を探
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悪魔のような女(1955年製作の映画)

3.5

午前十時シリーズにて。
生理的に視覚的に怖いクルーゾー作品。映像を、そして観客を信じているのだ。
有名な風呂場のシーンはもちろんなんとも禍々しい闇に澱むプールの絵。そこに子供を潜らせるのだ。あかんやろ
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戦争のはらわた(1977年製作の映画)

3.5

中坊の時に大阪フェスティバルホールにて試写会で観て以来。
随所にとんでもなく強烈なシーンが挿入される。戦友の影を追って切り返すと一人ぼっちだったり、死体と思って通り過ぎたら普通に生きていたり、握手しよ
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幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

3.5

上下の動きをカメラが執拗に追う。ゆったり大きく上り降る観覧車、苛立ちのエレベーター、階段、テラスから見下ろす公園。この大きな運きが室内で展開される波紋が絵の中の小さな一コマで起きていることを表現する。>>続きを読む

エル ELLE(2016年製作の映画)

3.5

バーホーベンはどちらかというと苦手な監督なんだけど、ユペール観たさにシネマイーラにてボッチ鑑賞。
明らかなサスペンス・ストーリーなのに、その語り口はサスペンスとは程遠い。こわごわ部屋の中を探索しないし
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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)(2017年製作の映画)

4.0

良い意味で予想を裏切られた、極めて上質なエンターテイメント作品。
前半の馬の蹄がやってきて去っていく感じ、森の煙り方は実に黒澤だ。森を俯瞰する神の視点、後半登場するチンパンジーのキャラも僕には黒澤キャ
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野良犬(1949年製作の映画)

4.0

午前十時シリーズ。
熱量が半端じゃない。ただでさえでかい三船が画面いっぱいに食らいつく。セリフはない。焼けるような雑踏を徘徊する様は野良犬だ。雑踏にみなぎる熱気を余すことなく拾い収めるカメラワーク。飢
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.5

これはまた滅法面白い。この監督、全然知らなかった。使い古されたネタの数々を見事にリミックスしてみせる。録音された会話を音楽に変えてしまうベイビーそのものだ。
最初あれ?なんか音が小さい⁉︎と思ったけど
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パターソン(2016年製作の映画)

4.5

シネマイーラにて妻と。

小さな世界の愛すべき日常の微妙な襞を言葉で掬い取る。
パターソンの言の葉は空気を震わす。
愛すべき人たち。やるせないマスター、自虐の上司、子猫のように天真爛漫な奥さん、乗客達
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