キアロスタミの魅力が凝縮している。ゴツゴツとした原石だ。
狭い路地で悪ガキたちのサッカーする足元をひたすら捉えるオープニング、授業もそこそこにサッカーの試合を観に行くための旅費を稼ぐために悪知恵の限り>>続きを読む
監督作に登場する男性は、ほとんどどうしょうもない輩ばかりなんだけど、今作の出版社の社長は頭抜けている。
入社早々のキムミニがいきなり理不尽に奥さんにビンタされるシチュエーションも凄いが、社長の愛人が出>>続きを読む
キムミニ嬢による公開処刑もなんのその、我らのユペール様がカメラ片手に狂言回しを演じる、グイグイ迫る。
カメラで撮られると人は変わる、という謎の理論で、監督とプロデューサーの二人から危ない人目線で見られ>>続きを読む
監督作では珍しくシュールな画がいくつかある。
公園で橋を渡る前に地面に突っ伏すキムミニ。海を向こうに画面いっぱいに横たわるショット、砂浜に突っ立つ棒。
ホテルではひたすら窓を拭く男。拭き終わり、バルコ>>続きを読む
前半と後半で同じシチュエーションを反復するが、その場の雰囲気によって無意識に口から出る言葉が微妙に異なることで結果が真逆になる面白さ。後半はキムミニの絵のことをこき下ろしたり、先輩達との呑み会では全裸>>続きを読む
デビュー作だが、特有のユーモアは見られず、オムニバス形式で綴られる四つの物語が最終章で繋がっていく展開。音楽含めて不穏な空気が漂っており、真実?幻想?というような映像が挿入され、観ている僕たちは翻弄さ>>続きを読む
闘病中だった息子のレコメンド。ようやく観ることができた。
とても丁寧に作られており、真珠の様に優しい佇まいの小さな小さな作品。
色々思い出してしまい、最初から最後まで泣きっぱなしになってしまった。
電>>続きを読む
寂しさが身に迫ってくる。
ロンドンのタワーマンション。見上げると灯るあかりはたった二つ。
孤独を埋めるように抱き合う二人だが埋まることはない。電車の中で、クラブで踊っていてもひとりぼっちなのだ。
両親>>続きを読む
陰鬱ながらも品のある画でヒーローの誕生を描く。もちろんシャマランなので単純明快なヒーローではない。ヒールは向こう岸に渡ってしまった変質者達で彼等と対峙し続ける覚悟が必要で、決断は暗く重い。
当時のシ>>続きを読む
カオスがカオスを呼び、誰も制御出来なくなる。
ノエ監督の分身であろう撮影監督が極悪で、シャルロット・ゲンズブール(本人出演!)を痛ぶるようにイカれた照明が明滅し、劇中監督役の怪優ベアトリス・ダルが孤軍>>続きを読む
開巻一発、傾斜が急な階段を弾まないボールがボトっと落ちてきて、フレームインしてきたスヌープ君が咥えてもって行く。
サンドラが学生にインタビューを受けており、二人の間に怪しい空気が漂ってきた時、
キュー>>続きを読む
勝手にカウリスマキ・マラソンの最後はこの作品と決めていた。大好き!
色彩設計の確かさは言わずもがなだが、今作のイエローはなんと表現すればよいのだろう。オーティネンのワンピース、少年のTシャツ、そして窓>>続きを読む
主人公のヤンネ・ヒューティアイネン(枯れ葉のカラオケおじさん!)は正統派の男前で、次から次から降りかかる理不尽な出来事にも耐え、監督作では珍しいファムファタールを演じるマリア・ヤルヴェンヘルミを決して>>続きを読む
今作もオーティネンが魅力的に撮られている。
裏切られることが怖くて期待しないように振る舞いながらも期待してしまう素振りに、心の底から応援してしまう。
脇役が皆魅力的で、特に施設長のおばさんがよい味を>>続きを読む
思春期の二人の描写。少女はいつも何かと競り合っているように気を張っているが少年の前では涙を見せる。
泣く=心を許すという行為がキーで、ラストへの布石になっている。
そして不器用な別れの交差点の造形に>>続きを読む
もともとセリフも少なく、音楽のセンスが最高の監督作はサイレントとの相性は良いと思っていたけれど、そうでもなかったかな。音楽と映像が分離している。
オーケストラの大仕掛けで大仰であったり、イージーリスニ>>続きを読む
芸術に生きるが全く甲斐性がない男達の物語で
男の友情、女の友情をいつになく情感たっぷりに描く。
よたよた走るオート三輪に皆んな乗って湖にピクニックに行く幸せな光景に胸がいっぱいになった。
ヴァーナネン>>続きを読む
ドストエフスキーの次はシェイクスピア、ご存知ハムレットの復讐譚を現代の会社乗っ取り劇として再構成した。
どこまでも黒い絵の中、毒殺につぐ毒殺(時々銃殺)が繰り広げられる。陰惨な殺人シーンもモンタージュ>>続きを読む
カチッと決まった前作に照れ笑いするように、弾けに弾けた結果、生身のカウリスマキが溢れ出した。大怪作だが嫌いになれない。
ペロンパがマンホールから出てきたり、フランク!と呼ぶと全員が振り向いたり兎に角>>続きを読む
家庭崩壊で親戚に預けられたコットちゃんのひと夏の物語。しかし実の父親があまりに酷い。最後の最後まで酷いのだが、このおっさんはこのまま変わらんやろなーという絶望感が序盤に示される。
預けられた先のショー>>続きを読む
善悪も保守も共産主義も、時間軸でさえも解体し、膨大な破片を並べ直し原爆投下に向けて編み込み剛腕でねじ伏せていくノーランはやはり只者ではない。
序盤の解体された断片の洪水に溺れアップアップしながらも物理>>続きを読む
ずっと楽しみにしていた作品で期待を遥かに越える傑作。
エリセは時代に逆らいながらも映画の素晴らしさを伝え続ける作家だ。僕も息子の生命を映画が救ってくれた実体験を通して、目には見えないが無限の力があるこ>>続きを読む
若干26歳でのデビュー作、しかも人類犀星の名作を選ぶなんてすごすぎでしょ。
人が人を裁けるのか?という原作の大きなテーマは一旦置いて、倒叙モノとしてピカレスクなストーリーが展開していく。
今作では役者>>続きを読む
大大大大大大大好き。
これでもかとばかりに夫婦に辛いことが降りかかる。どんな境遇に堕ちてもその場その場で道を見出していくオーティネンに胸を打たれるが、嵐は吹き止まない。絶望のどん底まで堕ちていくが、そ>>続きを読む
東出が母親のような包容力とここ一番で一歩も引かない肝っ玉ぶりで居場所であるシネスコーレを守る。
映画を志しながら挫折する二人の若者(芋生さんと杉田君が鮮烈だ)がシネスコーレの懐に抱かれ、迷いながらも道>>続きを読む
冴えない日常から逃げ出したい男と、これまた全く冴えないロックンローラーが道中で中年女性の二人組と合流し、愛らしくてちょっぴり寂しい道行が始まる。
ペロンパーとオッティネンの黄金コンビがポーカーフェイス>>続きを読む
脱北者達を救うために自ら現地に赴くキム牧師の覚悟が心を打つ。大らかで人懐こい人柄だが、息子を脱北を手助けしている中で亡くしていることが劇中語られる。ボロボロな体を引き摺りながら人々を先導して深い山を越>>続きを読む
前編の方が好きだったかな。
画を堪能したかったけれど、大きく動き出した物語を纒めるための編集の荒さが気になった。
結果、前編にはあった重量感が減ったかな。
映像作家であるヴィルヌーブにとって、ストーリ>>続きを読む
大好き!
故郷フィンランドを離れ、部屋の壁、裏町の通りや建物を好きな色に染め、色彩設計の行き届いた画が完成、そこに憧れの俳優やミュージシャンを溶け込ませる。
カウリスマキ的世界観に身幅を合わせるジャン>>続きを読む
絶好調の前作は世界の片隅の時代から取り残された面々が未知の世界に乗り込むワクワク感で大好きだったが、帰りの旅は少し重い。メキシコ組と北からやってきた新入りとの親和性がよくなく、自由の女神の鼻とそれを追>>続きを読む
大昔に今は亡き大阪の三越劇場にて監督作に初めて触れた想い出が甦る。
今改めて観て意外に細部を覚えていた。
カウンターに言い寄ってきた兄ちゃんにまで盛ってしまうシーンとか当時も大笑いしたっけ。
変わった>>続きを読む
がんばれ!ベアーズのような作品かと思ったら、ふらっとやってきた白人がダメチームを勝利に導く作品には意地でもしないぞ、という覚悟がピンと貫いていて驚いた。
なんとか爪痕を残したいファスベンダーに感情移入>>続きを読む
映画とは光をフィルムに焼き付ける芸術であることを改めて思った。
オープニングクレジットの中、ゆーっくりと光が差し込み色付いていく窓の景色。部屋の外からくぐもって聞こえる「アグスティーン!」の声。小箱か>>続きを読む
シーンが切り替わると、決め決めの構図の中に無表情で佇むカウボーイズ達がいて、シュールで哲学的ですらあるのだが、1秒後にはベタに笑ってしまう。
車の屋根に貼り付けられた棺桶の蓋を突き破って飛び出すリーゼ>>続きを読む
オフビート感を封印してハードボイルド•タッチで貫いている。
パラダイスの夕暮れではジーパンにシャツ・インのダサイ男を演じていたマッティペロンパーは今作ではクールだ。
トゥロ・パヤラとスザンナハーヴィス>>続きを読む
何をやってもうまくいかない奴らに対する優しい眼差しが温かい良質なメロドラマ。
ペロンパ、オウティネンのゴールデンコンビ含めて僕の好きなカウリスマキのエッセンスが初期作品から見られて、嬉しくなった。
タ>>続きを読む