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マエストロ:その音楽と愛とのKUBOのレビュー・感想・評価

4.2
アカデミー賞作品賞、主演男優賞&女優賞をはじめ7部門にノミネートされている『マエストロ:その音楽と愛と』をNetflix で鑑賞。

昭和の時代、クラシックの名指揮者というとカラヤンかバーンスタイン。そのバーンスタインの人生を、マーティン・スコセッシ&スティーヴン・スピルバーグのプロデュースの元、ブラッドリー・クーパーが監督・脚本・主演を務めて映画化した作品。

25歳でカーネギーホールで指揮者デビュー、あの『ウエストサイドストーリー』の作曲、エド・サリバン・ショーへの出演、妻となるフェリシアとの恋愛など、華々しい活躍で人生を駆け上がっていくところまではモノクロで描かれる。ここまでは振り返るべき過去なのだろうな。

家のドアを開けると、そこはすぐコンサートホールの入口に繋がっていたり、カメラワークがクール。

ところどころに『ウエストサイドストーリー』の楽曲が使われていたりして音楽もオシャレ!

そして人気絶頂の時期に突然画面はカラーに切り替わる。

さて、世の奥様方は「夫が浮気した」って言うのと、「夫がゲイだった」と言うのじゃ(そりゃ両方とも嫌だろうけど)どっちがショックなのかしら?

熱烈な恋愛の末に結婚し、子供も授かった2人だったが、バーンスタインはフェリシアを気にかけるそぶりもなく、若く美しい青年と逢瀬を重ねる。まるで純真無垢に愛を求めるかの如く。

天才ミュージシャンとゲイの映画と言えば、すぐ『ボヘミアン・ラプソディ』を思い出して、「これも同じ感じなのかな?」と思ったけど、本作はバーンスタインの映画に見えて、実はもう一人の主人公は奥さんのフェリシアだ。

本当に無分別にイケメンとの浮気を重ねるバーンスタインを「許している」のか「耐えている」のか、その辺のところは見ていただきたいのだが、家族を崩壊させないように必死に妻として生きるフェリシアが不憫で、不憫で。

そんな夫婦の危機を迎えた2人に更なる悲劇が! そしてバーンスタインの本当の気持ちとは?

共に主演男優賞、女優賞にノミネートされた、ブラッドリー・クーパーとキャリー・マリガンの熱演が素晴らしい!

全編に流れるバーンスタインの音楽が素晴らしい!

私はレコードは聴いていたけど、こんなインサイドストーリーは全く知らなかったから、この天才の夫婦と家族の有り様に、改めて感動した。

でもこれ、劇場で見たかったな〜。Netflix の功罪。ネトフリ加入者はアカデミー賞授賞式前に必見の傑作です。
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