ブラッドリー・クーパー監督兼主演作品。
非常に見事で巧みな秀作だと言えるでしょう。演出、とりわけ編集が素晴らしく、テンポよくストーリーテリングが進みます。邦題の副題通り、バーンスタインの伝記映画というよりは、家族を中心に描いた物語です。そのため、バーンスタインの仕事ぶりを期待した人にとってはやや肩透かしに感じるかもしれません。
カズ・ヒロによるヘアメイクが見事で、特に老けメイクは本当に高齢に見えて驚きました。
中盤の白眉であるマーラーの演奏シーンは、YouTubeで今でも見ることができるものとあって、あえて完コピではないそうです(おそらく)。
物語としては『TAR』の男性版とも言える内容です。そもそも『TAR』の主人公がバーンスタインに憧れているという設定なので当然ですが。物語そのものよりも、テンポや演出の強弱が見どころだと感じました。長編2作目でこのクオリティには驚かされました。