Nemo

こどもが映画をつくるときのNemoのネタバレレビュー・内容・結末

こどもが映画をつくるとき(2021年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

子供達がワークショップを通して映画を作成するドキュメンタリー。

映画をつくるのに主題や構成は後で、先にシーンを撮り溜めていく手法は、自由な発想で偶然との出会いを大切にしているといえばいいが、場当たり的で脈絡がないように見えた。しかもそれが最初から最後まで連続しているので、見ている側としては何を読み取れず、ただ子供たちの動きを微笑ましく観る退屈な時間だった。しかも、完成した映画まわりの作品は観られることなくこのドキュメンタリーは終了する。最後まで我慢して観たのに…ガーン。ちまちま中断を繰り返しながら観てたら1ヶ月くらいかかった。

このワークショップで何を得させたいのかもよく分からなかった。ファシリテートする大人の介入も必要最低限であくまでも子供の主体性を大切にする様子だが、ワークショップの方向性は謎。大人に交渉したり、電話したり、チームで意見を出し合ったり成長できるようなシーンはあったが、子供達が得たものとしては、ただ楽しかった、機材に触れられて良かった、みたいな作業の感想だけだったのではと思う。商店街のインタビューや、カメラワークの工夫、音の撮り方など、子供達も試行錯誤しながら作っていたが、意図や主題が不明のまま差し出されても、私には解釈しきれなかった。
ワークショップの子供達は一生懸命参加していて良かった。みんな魅力的で、子供の良さで成り立っていた。度合いの差はあれど、聞き分けもいいし、全員が参加している理想的な子達だった。個にフォーカスするのでもなく、集団全体を捉えるのでもなく絶妙な塩梅で子供を切り取っていてすごく中立的な視点が新鮮だった。

このドキュメンタリー自体すごく退屈で、ただの動画記録の寄せ集めじゃんって思ったけど、あらためてドキュメンタリーとはなんぞやと調べてみたら「虚構を用いず実際のままを記録した性質を持つこと。」とあった。まさに、これは純粋なドキュメンタリーだ。もう少し自分の中でドキュメンタリーとの向き合い方を学べばすごく面白く鑑賞できた作品なのかもしれない。
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