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シャーリー・チザムのlarabeeのレビュー・感想・評価

シャーリー・チザム(2024年製作の映画)
3.0
【実物のフォルムもインパクト大】

お話として面白いとか、人物に共感できるとか、実話に基づく話だからこそ作品自体の料理方法が重要になる。だって材料はあるんだから。

そういう意味ではこの料理は大変残念な仕上りだった。

黒人女性で初めてアメリカ連邦議員となり、民主党の大統領候補選に挑んだシャーリー・チザムの生き様を描いた作品。

実際のチザムはどんな人なのか知らないけど、多分凄く思いの強い人で行動力のある人なのだろう。

だが何?この作品。一番残念なのは本作に登場するチザムは政治的に何をしたい人なのか全く伝わってこない事。黒人の主張を認めさせる、女性の声を届ける、旧態依然とした今の仕組みを変える。それ自体が目的になっていて、黒人として、女性として何を主張したいのか全く描かれていなかった。

大統領になって何をどう変えたいの?それが見えないのに既存の価値観に対抗だけされてもなぁ。

多分本人が観たら怒るんじゃない?いや、怒って欲しい。

物語としては面白く、選挙の攻防なんかもハラハラしたり痛快だったり、作品は飽きる事無かったのだが、途中から劇中のチザムが何でも反対する典型的で薄っぺらい議員のように思えて入ってこなかった。

実話を題材にするのはいいが、登場人物の思いをちゃんと表現してあげないと本人に失礼。本人がこれを観て喜ぶようなら本人にも幻滅する。
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