ボー

ニモーナのボーのレビュー・感想・評価

ニモーナ(2023年製作の映画)
4.8
 中世?ヨーロッパ×サイバーパンクのデザインが最高にカッコいい。
 また、ニモーナ(トランスの人々の表象に見えた)が直面する問題は非常に生々しい。
 主人公が非ヘテロなのは、ニモーナの現実を描く上で必要な要素だと考える。非ヘテロはあの世界でも数的には多数派ではないだろう。そんな少数派であっても、別の少数派へ偏見を向けることはよくある。少数派同士だから分かり合える!などというのは幻想で、一人ひとりが歩み寄らねばならない。もし主人公がヘテロであれば、この少数派vs少数派の描写がここまで上手く尺に入っただろうか。
 ニモーナは負傷に怯まない。しかし、痛みを感じない訳では決して無い。強いというよりも強くならざるを得なかった、更に言えば諦めているようにも見える。そんな彼女が屈託なく笑って過ごせる世界は、目指すに値する綺麗事だと思う。
 コンパクトながらしっかり纏まっていて、楽しく爽快、しかし現実に苦しむ人間への温かい目配せが随所に散りばめられている……真に射程が広い"大衆"娯楽映画。
ボー

ボー